担当者にとって最も報われない業務No.1「バックアップ処理」
企業のIT業務において、切っても切れないのが「ファイルサーバー(共有)管理」です。少数のPCだけであれば問題は小さいものの、規模が数十台から数百台になると、サーバー管理者にかかる負担や責任は急激に増大します。
前回は、見た目には単純ですが実は奥深い「バックアップ処理」について取り上げました。今回はさらに技術的な側面を掘り下げながらも、「バックアップ」において本当に重要なポイントを考えていきます。
バックアップは技術より考え方が重要
コンピュータが普及して以来、ファイルのバックアップは不可欠な作業として存在しています。PCは機械であり、その中で作られたデータも同様に破損したり、誤って削除されることがあります。そのため、作成したファイルが消えてしまった場合、「どうにかして戻したい」と誰もが思うものです。
PCの普及に伴い、ファイルの量や容量、そして利用者数も増え、自然とファイルサーバーに依存するようになりました。ファイルサーバーを導入する際には、必ず「バックアップ」もセットで考えなければなりません。
テープからRAIDへ—技術の進化とその落とし穴
かつては、HDDが高価だったため、テープでバックアップを行うのが主流でした。私自身もその時代を経験しており、テープを何本も使い回しながら、慎重にバックアップを取っていました。しかし、テープは信頼性が低く、実際にデータを復元する際にテープが伸びて使えなくなることもありました。
その後、HDDが安価になると、RAID(複数のHDDを組み合わせて冗長性を高める技術)が一般的になりました。RAIDを導入することで、「もう安心だ」と思っていた時期がありましたが、それも一時の安心に過ぎませんでした。
ある時、ファイルサーバーのデータが破損し、バックアップからの復元が必要になった際、驚くべきことにデータが正常にバックアップされていなかったのです。HDD自体は無事でしたが、HDDを接続するコネクタが故障しており、データが取得できないという事態に陥りました。この経験から、技術に過信しすぎることの危険性を痛感しました。
技術に頼りすぎない「考え方」の重要性
これらの経験を通じて、私は技術に対して過信せず、最悪の事態を常に想定する考え方を持つようになりました。バックアップ処理において最も重要なのは、技術論だけでなく、常に「何が起こるか分からない」という心構えで対処することです。
機械や技術に過度に依存するのは非常に危険です。ぜひ、あなたのバックアップ戦略にもこの教訓を取り入れてみてください。