「転職のススメ」と題しましたが、住む環境や周囲の状況により転職への考え方や進め方は大きく異なります。本稿では、地方と都会における転職の違いを整理しながら考察します。
都会と地方で異なる転職環境
近年、「終身雇用の崩壊」や「スキルアップ転職」などのキーワードが話題となり、「転職=ネガティブ」という従来のイメージは薄れ、気軽な「カジュアル転職」が増えています。しかし、これは主に都会の話です。
都市圏では、同業種でのキャリアアップや異業種への挑戦など、多くの選択肢が存在します。「逃げる転職」でも「キャリアアップ転職」でも、それに見合った情報や求人が豊富です。一方で、地方の転職事情は全く異なります。
地方の転職における課題
地方では明らかに求人の数が少なく、情報も限られています。「都会に出る」という選択肢もありますが、家族や生活環境を考えると現実的には難しいことが多いでしょう。そのため、地方での転職は限られた選択肢の中で慎重に判断を下す必要があります。
筆者は職業柄、多くのサラリーマンから「転職」や「起業」に関する相談を受けます。ここでは「起業」ではなく「転職」に焦点を当てて、特に地方での転職について考えてみます。
転職動機の整理
転職を考える際には、まず動機を整理することが重要です。主な転職理由としては以下が挙げられます。
- 金銭面の不安
- 結婚や子どもの誕生といったライフイベントを機に収入を増やしたい。
これらは正当な転職理由であり、比較的前向きに転職活動を進められるケースです。ただし、焦りから選択を誤るリスクもあります。
- 職場環境や仕事内容への不満
- パワハラやブラック企業体質、将来性のない仕事など。
これらの理由は深刻ですが、特に地方では選択肢の少なさが大きな壁となります。転職先でも同様の問題に直面するリスクがあるため、慎重な対応が求められます。
ネガティブな動機に基づく転職は、情報不足や焦りが原因でミスマッチを引き起こしやすく、結果的にキャリアの幅を狭める可能性があります。
プロへの相談と気持ちの整理がカギ
地方での転職を成功させるためには、まず自分のキャリアや強みを棚卸しし、客観的に自分を見つめ直すことが大切です。転職のプロアドバイザーに相談し、冷静に情報を集めることが推奨されます。
さらに、転職は自分自身の問題であると同時に、周囲の人間関係や環境にも影響を与えます。上司や同僚、家族との関係、転職後の環境変化に対する不安などが心理的なブレーキとなることもあります。転職を成功させるためには、周囲の影響を整理し、自分の「覚悟」を固めることが重要です。
次回は視点を変えて、「経営者目線」で転職を考察してみたいと思います。地方と都会、社員と経営者、それぞれの立場から転職について理解を深めていきます。