近年、「脱Excel」という言葉をよく耳にします。しかし、実際の現場ではExcelを駆使したシステムが深く根付いており、単純に置き換えるのが難しいケースも少なくありません。

今回は、お客様から寄せられた具体的な相談をもとに、Excelで構築された複雑な社内システムの限界と、その最適な移行戦略について考えてみます。

■ 相談内容:Excelで構築された複雑なシステムの限界

ある企業では、社内業務を効率化するためにExcel(マクロ含む)を駆使して、非常に高度なシステムを構築していました。
しかし、次第に以下のような課題が顕在化してきました。

  • データ量の増加により、Excelの動作が重くなってきた
  • 情報共有が難しく、属人化が進行している
  • データの再利用がしづらい
  • 他システムとの連携が必要になってきた

これらの課題に対し、「ノーコードツール(例:kintone)への移行を検討すべきか?」という相談を受けました。

■ 「脱Excel」の難しさ──ノーコードツールへの単純移行は難しい?

一般的に、「脱Excel」の解決策としてノーコードツールの活用が提案されます。しかし、今回のケースでは単純な移行では解決しない問題がありました。

現状のExcelシステムを詳細に分析すると、以下の特徴が見えてきました。

  • 複雑な条件分岐と大量の入力データを処理
  • 他のシステムとの高度な連携
  • Excel特有の自由度の高い仕様

これをそのままノーコードツールに置き換えようとすると、大幅なカスタマイズが必要になり、開発コストや工数がかえって増加する可能性があります。

また、「属人化」や「継承性」の課題も、単にノーコードツールに移行するだけでは解決できません。

■ 最適解は「ハイブリッド運用」

では、どのような解決策が現実的なのでしょうか?

単純な置換ではなく、Excelとノーコードツールの良い部分を組み合わせる「ハイブリッド運用」が一つの答えになりそうです。

【提案する運用モデル】

  1. フロントエンド(入力) :Excelを活用
  2. データ管理(DB) :kintoneなどのクラウド型データベースを活用
  3. 簡易アウトプット :kintoneの標準機能を活用
  4. 高度な処理 :Excelまたは専用システムと連携

この方法なら、Excelの柔軟性を活かしつつ、データの一元管理と共有を実現できます。

また、Excelとkintoneの間でCSVのインポート・エクスポートではなく、外部プラグインを活用してシームレスに連携することで、より効率的な運用が可能になると考えられます。

■ まとめ

「脱Excel」は単純にExcelをノーコードツールに置き換えるだけでは解決できないケースも多くあります。

そのため、Excelとノーコードツールを適材適所で使い分けることが、現実的かつ最適な解決策となるでしょう。

今後、具体的な連携方法についてさらに情報収集を進め、最適な形を模索していきます。