「まちの総務」として、中小製造業だけでなく多様な業種の方々と日々接点を持っています。時には士業の先生や士業事務所のITサポートを行うこともあり、その過程で自然と法律や会計の話題に触れる機会も増えてきました。

そこでふと思い出したのが「門前の小僧習わぬ経を読む」ということわざです。お寺の門前で育った小僧が、教えられたわけでもないのにお経を唱えられるようになる、つまり「日常の環境から知らず知らず学びを得る」という意味です。まさに私自身も士業の先生方とのやり取りの中で、相続に関する知識を少しずつ吸収している最中です。

相続は「誰にでも起こる」テーマ

「相続」と一言でいっても、その中身は奥深く、法律や税金、不動産の扱いなど、普段はなじみの薄い専門用語が次々に登場します。多くの人にとって未知の世界でしょう。

しかし冷静に考えると、相続は決して他人事ではありません。誰しも人生のどこかで必ず直面するテーマであり、避けては通れないものです。だからこそ、今のうちから少しずつ知識を整理しておく必要があると感じています。

相続とは何か

相続とは、ある人が亡くなったときに、その人が持っていた財産や権利、義務を法定相続人が引き継ぐことを指します。

  • 財産には、土地・建物・現金・株式などの資産が含まれます。
  • 一方で、借金などの債務も相続の対象です。

特に不動産が絡むと分割が難しくなり、トラブルの原因となりがちです。金融資産のように「均等に分ける」ことができず、売却によって現金化しなければ分配ができないケースも少なくありません。

「その時」になって困らないために

相続の場面でよく聞くトラブルは次のようなものです。

  • 遺族同士での揉め事
  • 思いもよらぬ相続税の支払い
  • 「自分には財産が少ないから大丈夫」と思っていたのに、実際には準備不足で混乱する

理想は生前から家族でしっかり話し合っておくことですが、「生死」に関わるデリケートな話題のため、なかなか言い出せないのが現実です。結果として「その時になって慌てる」というケースが後を絶ちません。

本シリーズの狙い

私は専門家ではありません。だからこそ、相続を「素人目線」で整理し、ビジネスパーソンや生活者の皆さんにとって分かりやすい形でまとめていきたいと考えています。

これからのシリーズでは、以下のテーマを順次掘り下げていく予定です。

  • 相続に関する権利とルール
  • 相続税について知っておくべきこと
  • 遺言は「残された人へのメッセージ」
  • 認知症の増加が相続問題をどう複雑にするか

次回は「相続に関する権利的な部分」について解説します。

👉 まとめ

相続は避けられない人生のイベントであり、知識を持つか持たないかで大きな差が生まれます。「まだ早い」と後回しにせず、今のうちに少しずつ理解を深めていきましょう。