
ネット上で興味深い概念を目にしたので、今回はそれをテーマにお届けします。
その言葉とは 「グッド・ネイチャード・パーソン(Good-Natured Person)」=良い人。
驚くべきことに、Google や Facebook などのビッグテックでは
採用条件として単なる「高い技術力」よりも「良い人」であることが重視されるといわれています。
一見すると「本当に?」と思うかもしれません。しかし、その背景には明確な合理性があります。
■ なぜビッグテックは「スキルより良い人」を選ぶのか
日本企業の多くは、採用条件として「専門性の高さ」を重視しがちです。
一方で、海外のビッグテックはこう考えます。
- 高度な技術スキルは外部委託でも補える
- しかし 組織内の人間関係を滑らかにし、チームの生産性を底上げする“良い人”は外注できない
“良い人”の特徴には以下があります。
- 人に親切で、衝突を生まない
- 仲間と協調し、場の空気を壊さない
- 他人の失敗を許容し、チームの雰囲気を整えられる
こうした人材は、優秀なメンバーが集まるチームに生まれがちな「軋轢」や「マウント合戦」
「価値観の衝突」などの“スキマ”を柔軟に埋めてくれます。
これは管理職であっても、部下であっても、組織にとって極めて大きな価値です。
■ “良い人”はどう見極める?採用では難しい理由
とはいえ、採用で「良い人」を見極めるのは非常に難しい。
- 表面上は良さそうでも裏では問題を抱えている
- 「やる気のある無能」と「やる気のない有能」の違いは判別が難しい
人を見る経験値が必要であり、マニュアル化はほぼ不可能です。
■ 管理と運用を分けるという視点は、組織づくりに通じる
ここで私自身の持論ともつながります。それは、
管理が得意な人と、運用が得意な人は分けるべき
特にIT部門やDXプロジェクトでは、技術スキルの高い人材は
「運用は得意だが管理は苦手」という傾向が強く見られます。
- 技術者は探究心が強く、専門性が高い
- しかしプロジェクト全体を俯瞰したり、人を巻き込んだりするのは不得意なケースが多い
ここに、先ほどの「良い人」のロジックを重ねてみましょう。
- 専門スキルは一定数いて、学べば補える
- 外注することも可能
- だが 管理や調整・段取り力は外注しづらい固有能力
つまり、組織で本当に必要なのは
“管理ができる人=仕切りが上手な人”
であり、これもまた「グッド・ネイチャード・パーソン」に通ずる資質です。
■ “仕切りが上手な人”はどの組織にもひとりはいる
宴会の幹事をイメージすると分かりやすいでしょう。
- 参加者を集め
- 場所を選び
- 予算を調整し
- 当日も場を盛り上げ
- 最後は会計までまとめる
これは立派な「プロジェクトマネジメント」です。
旅行の幹事(コーディネーター)も同じです。
細やかな気配りと段取り力を持ち、参加者全員の満足度を最大化するマルチプレイヤーです。
こうした “気が回る人” は、どの職場にも必ず1人はいるものです。
そして、この資質こそが「良い人=グッド・ネイチャード・パーソン」の核心なのです。
■ 採用にも、既存チームの配置にも使える視点
「良い人」だけで採用を絞るのは難しいですが、
- 仕切りが上手そうな人
- 柔軟に調整できる人
という視点に変えることで、採用のハードルは大きく下がります。
また、新規採用だけでなく、既存の組織で役割分担を決める際にも非常に役立つ視点です。
■ 結論:管理と運用を見極め、「良い人」を配置せよ
新規事業、プロジェクト、組織運営、管理職の選定などにおいて重要なのは、
- 管理ができる人
- 運用が得意な人
この2つをしっかり見極め、適材適所で配置することです。
もちろん「管理が得意だから管理職」という単純な話ではありません。
運用(技術)に強い管理職が必要な場面もあります。その場合は、
- 管理を補完する側近を置く
という選択肢も十分に有効です。
■ 最後に
企業が本当に求めるべきは、「良い人=グッド・ネイチャード・パーソン」
そして「管理ができる人=仕切りが上手な人」
組織に“余白”をつくり、全体を滑らかに回す力こそ、これからのDX時代における
最強のスキルではないでしょうか。

