
「ドリルを買う人が欲しいのは穴である」
マーケティングの世界でよく知られている理論のひとつに、「ドリルの穴理論(レビットの法則)」があります。
これは、「ドリルを買いに来た人が本当に欲しいのは、ドリルではなく“穴”である」というもの。
つまり顧客のニーズは、ドリルという“モノ”ではなく、“穴を開ける”という目的を達成する手段としてドリルを求めている、という視点です。
デジタル化は「目的」ではなく「手段」
この「ドリルと穴」の話は、そのまま「デジタル化」にも置き換えることができます。
現代では「デジタル化は必須」「デジタル化に乗り遅れるな」といった空気が広がっていますが、本来、デジタル化は手段であり、目的ではありません。
ですから、極端な煽りや「やらなきゃ損」といった情報に惑わされる必要はありません。大切なのは、「なぜデジタル化をするのか?」という“目的”を明確にすることです。
デジタル化の目的は「楽をすること」?
目的は人それぞれですが、仕事の現場においては、究極的には「できるだけ手間を減らして、楽をしたい」という想いに集約されるのではないでしょうか。
「効率化」「業務改善」などもっともらしい表現もありますが、結局のところ、「面倒を減らす」「楽をしたい」というのが本音です。
しかし、そこに立ちはだかる“デジタルの壁”
ここで問題となるのが、「デジタル化の壁」です。
「楽をしたい」気持ちはあるのに、「今さらデジタルを学ぶのは大変」「難しそうだから今のままでいいや」といった声が聞こえてきます。
つまり、
「楽をしたい」<「デジタル化のハードル」
という構図になってしまっているのです。
解決のヒントは、あの“ドラえもん”
この深層心理をひも解く鍵は、“ドラえもん”にあるかもしれません。
「ドラえもん、○○を解決できる道具出してよ!」
この“○○を解決できる道具”こそが、「ドリル」であり、デジタルツール(SaaS)なのです。
誰も「ドリルを自分で組み立てたい」とは思いません。
ホームセンターでどのドリルを選べばいいか分からなければ、店員に聞く。信頼できるメーカーの定番商品を選ぶ。それと同じです。
これは、デジタル化にも当てはまります。
洗濯機選びに学ぶ「目的から考える手段」
たとえば洗濯機なら、目的は「服をきれいに洗うこと」。
選び方は人それぞれです。
- 少人数だから小型でいい
- 安価な単機能で十分
- 干すのが面倒だから乾燥機付きがいい
- 長く使いたいから高くても信頼できるメーカーを選ぶ
- 口コミを参考に評価の高いものを選ぶ
これをそのままSaaSなどのデジタル製品に置き換えれば、選び方のヒントになります。
本音では「試してから買いたい」
本当は、購入前に試してみたい——でも、それができない商品もあります。
そして購入後、「取扱説明書を隅々まで読む」人は少数派。
多くの人は、とりあえず使ってみて、わからないところだけマニュアルを確認するのではないでしょうか?
デジタル製品も同じです。
多くのSaaSはお試し利用ができますが、使い方を覚えるまでがハードル。ここが非常に大きなポイントです。
そして最後に行き着く「誰かやってくれないかな」
結局のところ、「面倒だから誰か代わりにやってほしい」。
そんな声が、あちこちから聞こえてきます。
この「助けてくれる誰か」が近くにいなければ、
「デジタル化」+「面倒」=「現状維持」という方程式に陥ってしまいます。
解決策は「相互サポート」の仕組みづくり
だからこそ、面倒見の良いお節介な誰かの存在が重要です。
「あなたの困ったことは、すでに誰かが解決しています」
この考えが、突破口になります。
SNSなどを活用した「相互サポートコミュニティ」の存在がカギを握ります。
私たちが目指す「まちの総務」も、まさにこの役割を担いたいのです。
まだまだ影響力は弱いかもしれませんが、皆さんの力を借りながら強化していきたいと考えています。
「手段を目的にしない」第一歩は、共に歩む仲間探しから
デジタル化を成功させるには、「目的」を明確にし、手段の選定とサポート体制を整えることが大切です。
推奨商品や運用方法の共有、評価のフィードバック、そして困ったときの相談窓口として、フラットで信頼できるコミュニティの存在が欠かせません。
ぜひ、「ドリル=解決ツール」の選定と運用をサポートする仲間として、一緒に取り組んでくださる方とつながりたいと願っています。