
2024年7月、Googleが「NotebookLM」の日本語版を正式リリースしました。これは、生成AIの力を活用した“パーソナルナレッジアシスタント”とも呼べる画期的なツールです。
私は業務系ブログを10年以上運営しており、記事の蓄積も増えてきた中で、
「過去の記事を体系化し、情報として整理・再構成したい」
「ゆくゆくは電子書籍として出版したい」
という構想を温めてきました。
しかし、これを実現するには以下のような課題がありました。
- 情報の粒度や視点が記事ごとに異なり、体系化が困難
- どこに何が書かれているか、自分でも整理できていない
- 重複・冗長な記述が多く、まとめ直すのに時間がかかる
そんな中、NotebookLMを試してみたところ、これはブログの書籍化構想に現実的な道筋を与えてくれる」と直感しました。以下では、その理由を整理してお伝えします。
■ NotebookLMとは何か?
NotebookLMは、Googleが開発した生成AI活用型のノートアプリです。
特徴的なのは、「自分がアップロードした情報を学習し、それに基づいて思考や執筆を支援してくれる」という点です。
◯ できることの例
- 要約生成:PDFやGoogleドキュメントから要点を抽出
- 質問応答:アップロードした資料に即した文脈でのQ\&Aが可能
- 草案作成:既存の資料をもとに新たなアウトラインや記事案を生成
- 比較・分析:複数資料を横断的に読み取り、対比・要約を提示
例えば、自分のブログ記事や過去の業務ドキュメントをNotebookLMに読み込ませれば、「どのような観点で整理されているか」「重複しているトピックは何か」「不足している視点は何か」などが瞬時に見えてきます。
■ 自分だけの“思考パートナー”ができる
NotebookLMの最大の特徴は、「自分の資料に特化してくれるAI」という点です。
一般的な生成AIは、その都度文脈や背景を説明しなければなりませんでした。しかしNotebookLMでは、情報をアップロードすることで、“前提知識を共有したAI”と会話するような感覚で使えるのです。
たとえば私は:
- 過去のブログ数100本をGoogleドキュメントにまとめてアップロード
- NotebookLMに「この記事群の中で重複しているテーマは?」と質問
- それをもとに再編構成し、章立ての草案をAIに作成してもらう
といった使い方をしています。まさに、構想していた「ブログの書籍化」が、現実味を帯びてきた瞬間でした。
■ NotebookLMがビジネスパーソンに向く3つの理由
① 情報の資産化が簡単にできる
議事録、企画書、メモ、ノウハウ共有資料――これらをアップロードするだけで、NotebookLMが要約・分析・分類してくれます。これまで「点」だった情報が、「線」としてつながっていく感覚があります。
② 書く・考えるの効率が段違い
「構想があるけど、どうまとめたらよいかわからない」
「テーマは決まっているけど、執筆が進まない」
こんな悩みを持つ人にとって、NotebookLMはまさに思考支援ツール。アイデアを整理し、言語化するまでを一貫して手伝ってくれます。
③ ナレッジワーカーにこそ刺さる「深さ」
ChatGPTなどと比べても、NotebookLMは「自分の情報に基づいた深いやり取り」が得意です。単なる情報生成ではなく、「知的補助輪」として活用できるのが魅力です。
■ 今後どう活用していくか?
私は現在、NotebookLMを使って以下のようなプロジェクトを進めています。
- 過去の業務ブログから、電子書籍向けの構成案を生成
- 社内ナレッジの統合と、若手向け資料の自動生成
- 業務提案書の原案作成をAIに任せ、肉付けを自分で行う
「自分が積み重ねてきたものを、どうすれば“資産”として再活用できるか?」という問いに対して、NotebookLMは極めて現実的な答えを提示してくれます。
■ まとめ:AIが“自分の知性の拡張”になる時代へ
NotebookLMは、従来のAIツールとは明らかに一線を画します。自分の資料を前提として活用できるため、汎用型では到達できなかった“パーソナルナレッジワーク”の領域に踏み込めるのです。
情報を扱うすべてのビジネスパーソンにとって、これは単なる便利ツールではなく、“思考と表現の加速装置”です。
「AIに仕事を奪われる」のではなく、「AIと一緒に考える」時代へ。NotebookLMは、その第一歩として最適なツールになるかもしれません。