製造業の工場見学や視察を行う際、ただ漠然と施設を見て回るのではなく、いくつかのポイントに注目することで、工場の状況を深く理解することができます。今回はその中でも特に、どの工場にも共通して確認すべき「3T(定位・定品・定量)」に焦点を当ててご紹介します。
製造品目や生産規模、さらには工場の新旧を問わず、工場の運営方針やモノづくりの姿勢を把握するためには、現場での「5S3T(整理・整頓・清潔・清掃・躾・定位・定品・定量)」の実施状況を確認することが効果的です。
5Sと3Tの違いとは?
5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)は、意識改革が必要な長期的な取り組みで、社員全員のマインドセットを変える必要があるため、中小企業などでは実施が難しいこともあります。一方で、3T(定位・定品・定量)はすぐにでも取り入れられる基本的な管理項目です。これにより、経営層や現場リーダーがしっかりと現場を把握しているかを確認することが可能です。
3T確認の具体的なポイント
3Tの観点から、以下の点をチェックすることで、工場の管理状態を把握する材料が揃います。
- 作業前後や在庫製品の表示が明確か
- 作業用治具の管理状態(これにより作業導線の効率化も確認可能)
- 製品出荷場所や材料入荷場所の管理状況
こうした基本的な確認を行うことで、工場の管理状態や改善の余地を見出すことができます。外部監査や訪問時だけの「見せかけの改善」ではなく、日常的に取り組むことが重要です。
まとめ:すぐに始められる3Tの取り組み
3Tは、特別な設備や外部支援を必要とせず、社内で取り組める改善手法です。スチール棚を用意し、「定位・定品・定量」を明示するだけでも、現場社員の意識向上につながります。こうした小さな一歩が、管理体制の見直しと改善の第一歩になります。
自社の工場も3Tの視点で確認し、もしすでに実践できているようであれば、次の段階である5S教育へと進んでください。
次回は、5Sについてさらに掘り下げていきます。