地域の経営者団体や業界協会、同友会などに参加していると、つくづく感じることがあります。
それは、「経営者は経営者同士でつるむ」という現象です。

サラリーマン時代にはあまり意識しなかったことですが、経営に携わる立場になると
この“つながり”の意味がよくわかります。
表面的には「同族意識」や「利害関係の共有」といった理由もあるかもしれません。
しかし実際には、「同じ悩みや苦しみを理解し合える仲間」という側面が大きいと感じます。

■ 経営者は、基本的に「孤独」な存在

経営者の悩みは多岐にわたります。
経営判断、資金繰り、顧客との関係、社員とのコミュニケーション、そして景気動向への対応。
どれも一つ間違えば企業の命運を左右する重いテーマです。

それでも、社内では明るく元気に振る舞う必要があります。
弱音を吐けば社員を不安にさせ、顧客の信頼を損なうかもしれません。
だからこそ、本音を打ち明ける場が極端に少ない。
この「表には出せない孤独」こそが、経営者の共通点なのです。

■ 「同じ立場」でしか共有できない苦しみ

経営の孤独は、経験してみなければわからない世界です。
決して「サラリーマンが楽」という意味ではありません。
立場や責任の性質が根本的に違うだけです。

経営者は常に決断を迫られます。
その重圧の中で、誰にも相談できずに悩む夜もある。
そんな時、「同じ立場で同じ悩みを抱える仲間」の存在は、何よりも救いになります。

■ 「遊んでいるようで、支え合っている」

商工会議所青年部、青年会議所、同友会などの経営者団体で知り合った仲間たち。
一見するとゴルフや懇親会、イベントなど「楽しそう」に見えるかもしれません。
しかしその裏には、互いの苦労や不安を理解し合い、励まし合う関係性があります。

経営の現場では「弱音を見せられない」人ほど多いものです。
だからこそ、同じ目線で語り合える場は、単なる社交の場ではなく、心の拠り所なのです。

■ 経営者は常に「未来」を語る

どんな不景気でも、どんな危機が訪れても、経営者は前を向くしかありません。
コロナ禍を経てもなお、多くの経営者がグチをこぼす暇もなく、次の一手を考えています。

同年代のサラリーマンが定年や将来不安を語る中、経営者の話題は常に「これからの未来」です。
事業をどう継続・拡大していくか。どんな新しい挑戦をするか。
不安や葛藤を押し殺しながら、それでも前進するしかありません。

だからこそ、「仲間とつるむ」ことは、逃避ではなく前進のためのエネルギー源なのです。

■ 経営者同士がつながる意味

経営者同士のネットワークは、単なる飲み仲間ではなく
「励まし合い」「共感し」「前へ進む」ためのコミュニティです。
互いの苦労を知る者同士だからこそ、言葉にしなくても伝わる安心感がある。

DX推進や事業改革といった挑戦の裏にも、実はこうした“仲間との支え合い”が存在しています。
孤独に見える経営の世界も、実は人と人とのつながりによって支えられているのです。

まとめ:
経営者が「仲間でつるむ」のは、単なる付き合いではありません。
孤独を乗り越え、前向きに経営を続けるための“生命線”なのです。
その絆こそが、変化の激しい時代を生き抜くエネルギーとなっているのかもしれません。