中小企業におけるデジタル化の課題は依然として大きく、特に人員や予算の制約から「ひとり情シス」に頼らざるを得ない企業も多い状況です。このシリーズでは、そうした「ひとり情シス」をサポートするため、これまでの経験から得たアドバイスをお届けしています。

前回は「トランザクティブメモリー」を活用して、まずは影響力を高めることの重要性をお伝えしました。まだご覧になっていない方は、ぜひ確認してみてください。

効果絶大な「社内ルール」の威力とは

さて、今回のテーマは「ルール化」の効果です。社内でデジタル化を進めると、予想外の問題やトラブルに直面することがよくあります。現代では、デジタル機器は誰もが使うようになり、かつてほどの苦手意識も薄れています。しかし、その分、管理者の目が届かないところで、予想外の行動や逸脱が発生することが増えています。

例えば:

  • 仕事に関係のないWebサイトの閲覧
  • 勝手にソフトをダウンロードしてトラブルを引き起こす
  • 機密情報を持ち出す

これらは管理を徹底しても完全に防ぐことは難しく、むしろ過剰な管理は運用を窮屈にしてしまう可能性もあります。そこで重要になるのが「抑制」の発想です。罰則を強化するのではなく、適切な「ルール化」によって社内のモラルを高めるのです。

「デジタル機器の取扱いルール」や「運用ルール」を明文化し、禁止事項を明確にしておくことは、社内での抑止力として効果的です。ルール違反があればブラックリストに載せる、監視があるという意識を持たせるだけでも、一定の効果が期待できます。

このようにルールを整備すれば、問題行動を起こす従業員も特定しやすくなり、対策も立てやすくなります。文書作成や運用ルールの整備が苦手な情シス担当者も多いかもしれませんが、対話型AIを活用すれば、その作業もスムーズに進められます。

ルールは経営層にも確認してもらい、社内の正式な承認を得てから全社員に通達します。そうすることで、運用がスムーズになり、「私が言ったのではなく、社内ルールです」という一言で社内のモラル向上を図れるでしょう。

運用ルール作りは、実は情シス担当者の重要な役割です。この機会にぜひ取り組んでみてください。