報われない業務の代表格「バックアップ処理」

企業のIT活動において、避けて通れないのが「ファイルサーバー(共有)管理」です。数台のPCだけであれば大きな問題にはなりませんが、数十台から数百台の規模になると、管理担当者にかかる負担は一気に増加します。その責任の重さと手間が増す中でも、特に報われない業務として多くの担当者が感じているのが「バックアップ処理」です。

バックアップ処理はシンプルではない

前回のコラムでは「バックアップ処理」がいかに報われない業務かという視点からお話ししましたが、今回は具体的な内容に少し掘り下げていきましょう。

「バックアップ」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?多くの人は、「同じファイルを別のデバイスにコピーするだけ」というイメージを持っているかもしれません。個人のPCでは、これで十分かもしれませんが、企業の数百人規模のユーザーファイルを扱うとなると、事情は一変します。

サーバー用の記憶メディア(HDD)も大容量化し、価格も手頃になっていますが、単純に「全ファイルをコピーしてバックアップする」というのは、非常に手間がかかります。大量のデータをコピーするには時間がかかり、バックアップ用にさらに大容量のHDDを用意しなければなりません。

効率的なバックアップ方法:差分と増分

そこで登場するのが「差分バックアップ」と「増分バックアップ」という手法です。これらは、単なる全ファイルのコピーではなく、効率的にデータをバックアップするための手法です。

  • 差分バックアップ:最初に行ったフルバックアップ以降、変更や追加のあったファイルを毎回バックアップします。
  • 増分バックアップ:前回のバックアップ以降に変更や追加のあったファイルのみをバックアップします。

どちらの方法も、毎回全ファイルをコピーするわけではなく、変更や追加のあったファイルだけを保存するため、バックアップ時間を大幅に短縮できます。

どちらを選択するか?

判断は難しいかもしれませんが差分バックアップは、バックアップファイルのサイズが日々増加するため、増分バックアップよりも完了までに時間がかかります。 これに対して、増分バックアップは通常、バックアップファイルが常に小さいため、より迅速かつ効率的です。
結論付けは難しいですが「増分バックアップ」を選んでおけば良いのかなと感じます。

次回予告:バックアップ管理の視点

次回は、技術的な話題から少し離れ、バックアップを管理する上で重要な考え方についてお話しします。効率的なバックアップの運用だけでなく、管理の視点も押さえておくことが、安定したIT環境を維持する鍵となります。