現在、DX研修用の資料を作成していますが、様々な文献を確認する中で、ますます深みにはまってしまい、方向性に迷いが出ることがあります。
中小企業における現場のギャップ感
私の担当している「まちの総務」では、100名前後の中小企業を主な対象としています。この規模が特に重要なポイントです。150名以上の企業では、IT専門部署が設置され、経営戦略に基づく活動が行われることが一般的ですが、100名前後の企業では事情が異なります。
IT担当者の現実
100名前後の製造業では、IT専門部署の設置が難しく、総務部門やPC好きな社員が「OA担当」として兼任でIT業務を引き受けることが多いです。しかし、彼らには正式な職務権限がなく、サーバー管理からPCの調整、さらには現場のヘルプデスク対応まで、幅広い雑務を抱え込むことになります。この状況下で「DX推進」を求められても、現場の担当者には響きにくいのが実情です。
DX推進に必要な違うアプローチ
こうしたギャップを埋めるには、個別企業の支援ではなく、IT業務の一括サポートが有効です。例えば、コミュニティを活用し、「ひとり情シス」状態のIT担当者を支援することで、彼らの業務負担を軽減できるかもしれません。
業務分担と外部サポートの活用
企業内でやるべきこと、外部に委託できること、そしてコミュニティを活用できることに分けて考えましょう。以下に具体例を挙げます。
- PCキッティング作業:理想はスマホのデータ移行のように、自動で環境移行ができる仕組みですが、まずは移行マニュアルを整備し、他の社員にも対応を任せられる体制を作ります。
- サーバー管理:定期的なバックアップの確認などを除き、運用はシンプルなNASやクラウドサービスを利用して、作業を軽減します。
- 社内ナレッジの共有化:問い合わせの7割は共通の内容です。これをFAQにまとめたり、AIを活用して自動化することが可能です。
- 共通マニュアルの整備:属人化を防ぐため、標準化できる部分は共通化し、独自の内容は個別に対応する仕組みを整えます。
外部サポートとコミュニティの活用
- 運用標準化:セキュリティポリシーや運用ルールの共通化は、他社の成功事例を参考にしながら進めることが可能です。
- コミュニティの活用:新ツールの評価時には、他社の事例が大いに役立ちます。また、IT担当者同士の相談も相互支援の形で進められます。
このように、まずは現場のIT担当者の業務負担を減らし、DX推進のための基盤作りを始めることが、「まちの総務」的なアプローチです。これがやがて、企業全体のDX推進へとつながっていきます。
ぜひ参考にしてください。