
IT業務を担当されている皆さん、「ビッグデータ」と聞くと大がかりなシステムを想像しがちですが、実はシンプルに言えば「情報を蓄積し、分析・活用すること」に他なりません。
前回の記事では「情報を蓄積すること」の重要性についてお話ししましたが、今回はその次のステップである「ナレッジ分析」について解説します。
ナレッジ分析と聞くと難しそうに思えるかもしれませんが、ポイントを押さえれば、すぐに実践できる業務改善の手法となります。
ナレッジ分析のポイント
以下の視点でデータを整理・分析し、業務改善につなげていきましょう。
1. 月ごとの対応件数の確認
毎月の対応件数をベンチマークとして記録し、増減の傾向を把握しましょう。改善策を講じることで件数が減少すれば、その施策が成果を上げている証拠となります。
2. 月ごとの対応時間の把握
何分(何時間)対応しているのかを記録し、業務負担の推移を確認します。時間削減の取り組みが、効率化の指標となります。
3. 突発的・頻発する問い合わせ内容の確認
頻発する問い合わせは、根本的な解決策が必要です。関係者と協議し、問題を未然に防ぐ対策を検討しましょう。一方で、突発的な問い合わせは一定期間の累積データをもとに、次回以降の対策を計画します。
4. ソフトウェア・ハードウェア・環境要因の確認
問題がソフトウェア、ハードウェア、環境のどこに起因しているのかを整理し、適切な対策を検討します。例えば、PC故障の頻発なら代替機の準備を進める、ネットワーク環境の問題なら経営層を交えた協議が必要です。
5. 緊急度の把握
問い合わせの緊急度を分析し、IT担当者の負担軽減を図ります。データを蓄積することで、対応の優先順位を明確にし、より効率的な対応が可能になります。
6. マニュアルの必要性の検討
初めはIT担当者が対応していたものでも、頻発する問い合わせについてはマニュアルを作成し、現場対応が可能な体制を整えていきます。
7. 問い合わせの発信者を分析
データを集めると、特定の人物や部署からの問い合わせが多いことが顕在化します。その場合、該当の担当者に重点的なフォローを行うことで、問い合わせの削減につながります。
分析結果を社内で共有しよう
上記のポイントをもとに、最低でも月1回はナレッジ分析を実施し、その結果を上司や経営層と共有しましょう。これにより、
- 予算化が必要な場合の説得材料になる
- IT業務の重要性が認知される
- 業務の質が向上する
- 軽微な問い合わせはマニュアル化し、現場対応が可能になる
- 社内全体のITリテラシー向上につながる
これらの取り組みを通じて、月ごとの発生件数をベンチマークとし、業務改善の可視化が可能になります。
「まちの総務」としてのナレッジ共有
実際、多くの企業のIT担当者が抱える課題は、7〜8割が共通しています。企業ごとに異なる部分は2〜3割程度で、特にPCの初期設定(キッティング)に関する問い合わせはどの企業でも頻発しています。
このような共通課題に対し、「まちの総務」としてナレッジ情報を公開し、解決策を提供することができれば、まさに「ビッグデータの有効活用」となり、企業DXの第一歩となるでしょう。
まずは、すぐに実践できる範囲からナレッジ分析を始めてみてください!