日々、さまざまな業界の専門家とお話しする機会が多く、雑談の中で思わぬ学びを得ることがあります。今回のテーマである「相続」も、そのような会話の中から興味を持つようになりました。

相続は一生に何度も経験することではありませんが、いざその時が来たときに「何も知らない」状態では困ってしまいます。そこで今回は、相続にまつわる「財産・権利・義務」について、ビジネスパーソンにもわかりやすく整理してみました。

※この記事は法律専門家による監修を受けたものではありません。表現や解釈に不正確な点がある場合はご了承ください。

前回のおさらい:暦年贈与と基礎控除オーバー対策

前回は「相続税の基礎控除を超えた部分をどのように節税するか」という観点から、生前贈与(暦年贈与)について取り上げました。今回もその流れを踏まえながら、実際に相続が発生したときの手続きや考え方について見ていきます。

相続に関わる3つの基本パターン

相続に関しては、手続きや発生する税金などが相続のパターンによって異なります。主に以下の3つが存在します。

1. 遺言相続(いごんそうぞく)

これは、故人が生前に遺言書を作成していた場合に適用されます。
個人の意思が明確に記されているため、法的効力が最も強く、原則として遺言の内容が優先されます。
遺言書の形式(自筆証書・公正証書など)によって手続きが異なりますが、故人の意思を最も尊重できる方法です。

2. 遺産分割協議書による相続

遺言書が存在しない場合、法定相続人全員が集まり、遺産の分け方について話し合って合意する方法です。
このとき作成されるのが「遺産分割協議書」です。
相続人が複数いる場合、全員の同意が必要であり、円滑な話し合いが求められます。
親族間の関係が良好であれば、もっとも一般的かつ柔軟な対応が可能な方法です。
※ただし、税務署や金融機関などへの提出を含め、所定の手続きは必要です。

3. 法定相続(法律による相続)

遺言書もなく、遺産分割協議もまとまらない場合には、民法で定められた相続人と相続割合に従って相続が行われます。
この「法定相続」は、相続人の順位(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)や割合が法律で細かく決まっています。
争いが避けられなかったケースや、手続きが煩雑になることもあるため、事前の準備が重要です。
※詳しくは「法定相続 相続割合」などで検索してみてください。

実際にはどのパターンが多い?

統計的な正確な割合は不明ですが、1. 遺言相続 → 2. 遺産分割協議書 → 3. 法定相続の順に多いのではないかと想定できそうです。
ただし、これは家庭や資産状況、人間関係によって大きく異なるため、一概には言えません。

まとめ:相続を“自分ごと”として考えるきっかけに

相続というテーマは、普段はあまり意識されませんが、いざというときに知っているかどうかで大きな差が生まれます。
とくにビジネスパーソンにとっては、親や自分の世代に関係する「資産承継」のリテラシーとして押さえておくことが大切です。

このコラムが、相続について考える小さなきっかけになり、生前からの意思表示(遺言書など)を通じて、円満な相続が増えることを願っています。