
〜「フローのタスク化」で人員不足の堂々巡りを断ち切る〜
日々の業務支援を通じて、小規模から大手まで多様な企業と関わらせていただく中で、企業規模ごとの課題感を少しずつ把握できるようになってきました。今回は、とりわけ10名以下の事業所の方々に参考になるご相談事例をご紹介します。
前回のおさらいと読者からの声
前回は「業務をタスクとフローに分けて考える」というテーマを取り上げました。
すると、読者の方からこんな声をいただきました。
「それは従業員が潤沢だからできる話で、うちのような人員の少ない事業所には当てはまらないのでは?」
確かにもっともな指摘です。では、この“嘆き節”にどう対応すべきか。ここが今回のテーマです。
成長過程で必要になる“仕事術の転換”
本シリーズのテーマである「成長の過程で大手から学ぶべき仕事術」。
この“成長の過程”という視点がとても重要です。
事業を始めた当初は、少人数で限られた顧客を相手に十分まわっていた時期があったはずです。
しかし、事業が順調に成長し、顧客数が増えてきた段階では、次の問いが生まれます。
- 今まで通りのやり方を続けますか?
- それとも「次のステージ」にふさわしい進め方へシフトしますか?
小規模事業所が“次のステージ”に上がる時、仕事の進め方の変化が不可欠になります。
人を増やすだけでは「堂々巡り」
多くの事業所が最初に考えるのは、こうです。
- 「人手が足りないからパート事務員を増員しよう」
もちろん間違いではありません。ですが、ここで落とし穴があります。
人を増やしても、従来のやり方を踏襲したままでは、忙しさも比例して増えるだけ。
結果として、またすぐに「人手不足」という同じ課題に戻ってしまいます。
解決策は「フローのタスク化」
ここで必要になるのが フローのタスク化 です。
イメージはシンプル。
一人が最初から最後までフロー全体を抱えるのではなく、業務をタスクごとに分解し、役割を分担して積み上げていく方式です。
例えば飲食店でいえば、
- 注文を受ける人
- 天ぷらを揚げる人
が分かれているようなイメージです。
さらに、細分化したタスクごとにマニュアルを整備することで、複数人で効率的に業務を回すことが可能になります。
顧客数が増えても、タスク単位で処理を積み重ねる仕組みができれば、全体最適につながります。
コア業務とノンコア業務の切り分け
- 定型業務(マニュアル化できる作業)
- 非定型業務(判断や経験が必要な作業)
を切り分け、ベテランと新人に適材適所で配置できます。
いわゆる「コア業務とノンコア業務の分類」です。
これにより業務スピードは格段に上がり、組織の安定感も増していきます。
最初は馴染みにくくても大丈夫
小規模事業所にとって、この考え方は最初はピンとこないかもしれません。
「うちには合わないのでは…」と不安になることもあるでしょう。
しかし、大手企業で働いた経験を持つ人であれば、この仕組みの有効性をすぐに理解してくれます。
実際、あるお客様先でも導入当初は違和感があったものの、大手出身のパート社員が加わったことで一気にマインドチェンジが進みました。
「成長の過程で大手から学ぶべき仕事術」とは、この“やり方を変える勇気”にほかなりません。
そして、その一歩を踏み出すためには「まちの総務」のような外部の知恵を借りるのも有効です。
あなたの困りごとは、すでに誰かが解決済みかもしれません。
既にある知恵を取り入れることで、現場は確実に変わっていきます。
レッツDX!