
「デジタル庁への提言」とは少々大げさに聞こえるかもしれません。
しかし、デジタル化の本来の目的は“個別最適”ではなく、“全体最適”を実現することです。デジタルの民主化を推進し、国全体で恩恵を享受できる社会を目指すには、個々の企業の独自運用では限界があります。だからこそ、「まちの総務」という立場から、現場の声を集めて全体最適のDXを進める提言には大きな意義があると考えています。
今後はシリーズとして、企業や行政の現場で蓄積してきたニーズを踏まえ、デジタル庁への提言を順次まとめていきます。本記事ではまず「デジタル庁に期待すること」を整理し、読者の皆さまと共に考えていきたいと思います。
内容的には多岐に渡るのでシリーズ化して報告させていただき
みんなで一緒に考えて行ければと思います。
- デジタル庁に期待する所 ⇦ 今ここ
- 企業間商取引の汎用化と中小企業版JANコード化
- 個別会計処理の統合化
- 個別給与計算の統合化
- 企業提出情報のDB化(紙の電子化NG)
- 番外編 SaaS情報のWebAPI連携の標準化
- 番外編 情報セキュリティ管理は独自運用では無い
デジタル庁に期待すること
政府が大規模な取り組みを始めると、必ず一定の批判や反対が起こります。これは世界共通であり、100%の合意形成は不可能です。だからこそ「より良い方向」に進めるための政治判断が必要です。
その意味で、デジタル庁はこれまでの省庁とは一線を画す存在です。国が法制度を整備し、民間主導では進みにくかった領域を強力に推進していくという役割を担っています。
デジタル庁とは?
デジタル庁は、日本のデジタル社会を実現する司令塔として、2021年9月に内閣のもとに設立された行政機関です。目的は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進──すなわち、ITの浸透によって人々の生活を豊かにすること。国や自治体のIT化を牽引する中心的な役割を担っています。
もっとも、そのゴールや方向性はまだ曖昧であり、説明も難解になりがちです。これが「DX」や「デジタル化」が一般に理解されにくい理由のひとつでもあります。
デジタル庁に求めたい具体的な取り組み
曖昧だからこそ、今までの民間主導では進みにくかった「デジタル立国」を推進するために、デジタル庁には強いリーダーシップが期待されます。具体的には、次のような施策が必要です。
- 国民全体に対するデジタルリテラシーの啓蒙と推進
- 行政や企業単位にとどまらず、広く国民が恩恵を受けられるデジタルツールの普及
- 行政データの標準化・ルール化による利活用の促進
- 各産業データの標準化による企業間取引の効率化
- バックオフィス業務の統合化(企業情報と行政データのリンク強化)
このほかにも、中小企業が活用できる共通基盤の整備や、SaaS連携の標準化、セキュリティ運用の統一など、数多くの課題が存在します。
まとめ
デジタル庁は、従来の行政組織とは異なる役割を持ち、日本全体のDXを推進するための強力な司令塔です。まだ曖昧さの残る部分はありますが、その分だけ可能性も広がっています。
次回以降は、「企業間商取引の汎用化」「中小企業版JANコードの導入」「会計処理・給与計算の統合化」など、より具体的なテーマについて提言を行っていきます。
「まちの総務」の視点から──デジタル庁に何を期待できるのか。
引き続き、一緒に考えていきましょう。