
最近、お客様から次のようなお問合せをいただきました。
「DX認定の申請を検討しているのですが……」
社内方針として「DX活動の可視化」を進める一環で
国の制度である「DX認定」取得を考えているとのことです。
私自身、これまでDX関連のコラムを書く中で「DX認定」という制度名は目にしたことがありましたが
細かな内容については深く理解していませんでした。
そこで、改めて制度の背景や意義を調べ、学び直してみることにしました。
■ DX認定とは何か?国が企業のDX推進体制を評価する制度
DX認定制度とは、デジタルによる社会変革を踏まえ、経営者に求められる対応をまとめた
「デジタルガバナンス・コード」 に準拠しているかどうかを国(経済産業省)が評価し、
「DXを進めるための準備が整っている企業」 として認定する制度です。
認定を受けた企業は
- 自社がDX推進に積極的であることを社外にアピールできる
- 公的な支援措置を利用しやすくなる
といったメリットがあります。
(出典:IPA 情報処理推進機構)
つまり、国が定めた基準に基づき、「わが社はDXを本気で取り組む体制づくりを進めています」という
“お墨付き”を得る制度であり、個別のDX施策そのものより体制づくりや方針の明確化が重視されています。
とくに、中堅企業以上では「対外的な信頼確保」や「支援制度の活用」を目的に
取得メリットは決して小さくないと感じました。
■ DX認定を理解するうえで欠かせない「デジタルガバナンス・コード」
DX認定を語るうえで必ず押さえるべきが、認定基準の土台となる
「デジタルガバナンス・コード」 です。
2024年9月19日、経済産業省は最新改訂版となる
「デジタルガバナンス・コード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」
を公表し、DX認定制度の基準もこれに合わせて更新されました。
まずは、企業として取り組むべき“基本姿勢”を示した、このコードの理解が出発点になります。
■ デジタルガバナンス・コードの概要
デジタルガバナンス・コードは2020年11月に策定され
その後時代の変化を反映しながら改訂が続けられてきました。
2024年版「3.0」では、DX経営を軸に企業価値向上を目指す視点がより明確に示され
企業がDXを経営戦略レベルで実行するための指針が整理されています。
■ 「3視点・5つの柱」で構成されるDX経営の枠組み

● デジタルガバナンス・コード 5つの柱
- 経営ビジョン・ビジネスモデルの策定
- DX戦略の策定
- DX戦略の推進
- 成果指標の設定と戦略の見直し(PDCA)
- ステークホルダーとの対話
● 3つの視点
- 組織づくり
- デジタル人材の育成・確保
- ITシステム・サイバーセキュリティ
■ 一言で言えば「DXを経営に組み込み、戦略的に回していくための基準」
要点を整理すると
- 会社としてDXを経営戦略に組み込み
- 戦略を策定し、推進し、成果を測り、改善し
- 体制や人材、セキュリティなどの基盤を整え
- 社内外のステークホルダーに説明責任を果たす
という、DX経営のPDCAをまわすための基準が体系化されています。
本記事では序章として全体像を紹介しましたが
次回からは各要素を具体的に深掘りし、実務にどう落とし込むかを解説していきます。

