
ここ数年、日本国内でもデジタル社会を見据えた教育改革として、義務教育におけるICT教育を推進する「GIGAスクール構想」が進められてきました。国の施策としては非常に前向きな取り組みであり、教育への投資としても評価できるものです。
一方で、次のようなネット記事も話題となっています。
注目すべきは「高校生の自己負担」という点です。義務教育課程でも、同じ課題が存在しているのではないでしょうか。
教育ICTの課題は「ネット環境」と「端末選び」
教育ICTを導入する際の課題は大きく分けて2つあります。
- ネットワーク環境の整備
一度導入すればリースや買い取りで安定運用できるため、比較的解決が見えやすい分野です。 - ハードウェア端末の選定
こちらが大きな論点です。
現在はタブレットが多く採用されていますが、タブレットには長所と限界があります。
- 教科書代わりや簡易入力には最適
- しかしプログラミングや高度な操作にはPCの方が有利
すみ分けを考えると、
- 小学校 → タブレット
- 中学校 → タブレット or PC(移行期)
- 高校 → PC(特にノートPC)
というのが現実的な線でしょう。
PC導入の壁 ― OSと更新コスト
実際にPCを導入するとなると、OSは「Microsoft系」が中心になると予想されます。
ただし、高校生に自己負担を求める場合、Mac派の保護者からは反発も出るでしょう。
さらに、PC環境はOSやソフトのアップデート、定期的な性能更新が不可欠です。
数年単位での大規模な入れ替えは避けられず、
- 公費負担であれば更新サイクルの確保
- 個人負担であれば性能格差の拡大
といった課題が浮かび上がります。
最適解は「シンクライアント」か?
こうした課題の解決策として改めて注目したいのがシンクライアント(Thinクライアント)です。
シンクライアントとは、端末自体に大容量ストレージやアプリを持たず、ネットワーク経由でサーバーに接続してソフトやデータを利用する仕組みです。端末は必要最小限の機能を備えるだけなので、安価かつメンテナンス性に優れています。
過去にはネット環境の未整備やハードコストの高さから普及が進みませんでしたが、今では通信インフラも端末性能も飛躍的に進化しています。国産メーカーが再びこの分野で存在感を発揮する可能性も十分にあるでしょう。
まとめ
GIGAスクール構想は教育の未来を切り開く大きな投資です。しかし、端末の選定と更新費用という課題は避けて通れません。タブレットかPCかという議論に加えて、「シンクライアント」という第三の選択肢を再評価する時期が来ているのではないでしょうか。
私自身も久々にシンクライアントの動向に興味を持ち、改めて調べてみようと思います。