
知らなくても日常生活に支障はありませんが、知っていると少し得した気分になる。
そんな「キーワード」についてキーワードウオッチャの私が解説します。
■ペロブスカイト太陽電池
今回取り上げる注目ワードは「ペロブスカイト太陽電池」。
造語や横文字が次々と登場する中でも、今後の産業構造に影響を与えかねない重要な技術として
注目されています。
ペロブスカイト太陽電池とは、「ペロブスカイト」と呼ばれる鉱物の結晶構造を応用した
次世代型の太陽電池です。軽量で柔軟性が高く、製造コストを抑えやすいという特長から
従来の太陽電池では設置が難しかった場所にも応用できる可能性があります。
詳細な技術解説はここでは割愛しますが、興味のある方は検索やAIツールを
活用していただければ十分理解できるでしょう。
■日本が再び「世界をリードする立場」に立てるのか
本稿では、このペロブスカイト太陽電池の開発を通じて日本が再び「世界をリードする立場」に
立てるのか、という視点で考えてみたいと思います。
まずは率直な所感から述べると、日本は基礎研究力と製造技術において
今なお世界有数の技術立国であると考えています。
この前提に立てば、一定期間は技術的な優位性を保てる可能性は高いでしょう。
しかし、新技術や要素技術の分野では、日本だけでなく各国が激しく競争を繰り広げています。
過去を振り返れば、先行した技術が短期間で追いつかれる例は枚挙にいとまがありません。
従来型の太陽電池、電池技術、液晶テレビなどは、その典型例と言えるでしょう。
製品化や市場規模という観点では、早い段階でアジア諸国や欧米勢に主導権を握られる
可能性も否定できません。
■日本が強みを発揮すべきところ
だからこそ日本が強みを発揮すべきなのは、この技術を「基盤」とした
応用技術や製造技術の高度化、さらには精密性や安全性といった分野です。
これらはまさに、日本企業がこれまで培ってきた得意領域と言えるでしょう。
この点を理解する上で、半導体事業の歴史は良い教訓になります。
バブル期の日本は、開発力・製造技術力・設備力・要素技術のいずれにおいても
世界トップクラスの半導体立国でした。
しかし30年を経た現在、国内の半導体メーカーは厳しい状況に置かれています。
生産規模や資金力の勝負では海外勢に追い抜かれ、主役の座は移りました。
それでも、製造装置や材料といった要素技術の分野では、日本企業はいまなお
世界シェアの上位を占めています。
一般消費者にはあまり知られていないものの、世界の半導体産業に不可欠な
“縁の下の力持ち”として、日本メーカーが産業の屋台骨を支えているのが実情です。
この構図は、ペロブスカイト太陽電池においても十分に再現可能ではないでしょうか。
製品そのものの大量生産競争ではなく、応用技術や製造プロセス、品質・安全性の分野で覇権を握る。
そうした展開に大きな期待を寄せています。
次世代エネルギー技術の行方は、日本の産業競争力を占う試金石になるかもしれません。

