「まちの総務」を通じて多くの企業の総務人事担当者とお話しする機会が増えています。特に採用活動において、「どんな方の募集を期待していますか?」との問いに対して、大半の企業が期待するのは元気なあいさつができる方、コミュニケーションが得意な方です。これは社会人として会社の顔になるため、社内外の関係性においても極めて重要な要素です。特に第一印象は相手を不快にさせないように気をつけるべきです。
私自身の経験や研修を通じて感じることですが、IT系のオタク気質の方々は、社交性が苦手な傾向があります。リモートベースでの対応やテキストベースでのコミュニケーションを好む傾向があり、他人との対面を避けることが多いです。しかし、これが全ての職種で問題ないかどうかは悩ましいところです。
積極的で前向きな印象を持たれる方が、実は深い考えを持っていることもあります。会話の中で発言が少なく控えめな方が、意外な一言で驚かせることがあります。こうしたメンバーがワークショップでの成果発表で経営層を驚かせることは頻繁にあり、これが結果的に金脈を見つけることにつながります。
「あいさつができる=優秀な人材」とは言い切れなくなっています。経営層向けの研修を通じて得た経験から見ると、あいさつができないけれども優秀な人材を、後からあいさつができるように育てる方が、あいさつのできる人を優秀な人材に育てるよりも有利かもしれません。
募集においても柔軟な視点が求められる時代です。冒険心を持ち、「オタク気質の方」を積極的に採用することも一つの手かもしれません。また、求人広告においても、特定の特徴やニーズに焦点を当てたアプローチが成功することがあります。例えば、「一日中誰とも話さなくていい仕事」という特異な魅力を打ち出した蕎麦屋の求人広告は、意外な形で50名の応募を得たエピソードがあります。
蕎麦屋の「そば打ち職人」の求人広告のキャッチコピー
掲載1回目:「創業120年、愛され続ける老舗です」応募0名
掲載2回目:「遠方からのお客様も多い人気のお店です」応募0名
掲載3回目:「一日中誰とも話さなくていい仕事」応募50名結果
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最終的には、「あなたのお悩みは解決できる誰かがいます」という考え方で、柔軟かつ効果的な採用戦略を検討していくことが大切です。「まちの総務」と一緒に悩みや課題を解決し、より良い人材採用に向けて前進していきましょう。