システムサポートの現場で頻繁に耳にする言葉があります。
「時間がないからできない」という残念なワードです。よくあるケースとして、システム担当者に「〇〇はできませんか?」と尋ねると、「やっている暇がない」「時間があればできます」と返ってくることが多いです。
裏を返せば、「時間があればできるのに、忙しいから手が回らない」と言っているわけです。この言葉、あなたの職場でも、もしかしてあなた自身も使っていませんか?一見「最強の言い訳」に思えますが、実は「私は仕事ができません」「能力がありません」と言っているのと同じで、非常に弱い立場を表す言葉なのです。
事例紹介
例えば、社内のIT担当者が会社規模的に兼任でIT業務を行っているケースがあります。メイン業務の他にOAサポート(PC設定やトラブル対応)も兼任しており、日々忙しく業務をこなしています。
突然発生する現場でのOAトラブル
- プリンターが動かない
- ネットワークの接続不具合
- PCが故障した
- 操作方法が分からないので教えてほしい
まさにIT介護のような状況です。完全にボランティア状態で、兼任と思っていたOA担当業務のボリュームが増大してしまっています。
この状況を見かねた上司からの相談もあります。話を聞くと、担当者の不満が爆発寸前です。しかし、企業規模からして専任担当や専門部署を設置するほどの余裕はありません。
想定される問題点
このような状況では、以下のような不満が出てくることが予想されます。
- 評価されない担当者の労力
- デジタルに疎い上司と担当者の不満のミスマッチ
冒頭の話題に戻り、私が「担当者の方はマニュアルやトラブル事例をまとめていますか?」と聞くと、「忙しくてやっている暇がありません」との答えが返ってきます。このような会話を何十社でも見てきました。この根底には、さまざまな感情が渦巻いています。
- 中途半端な担当業務に対する不満
- ボランティアのような業務
- 仕事として認識されていない軽視
- 組織体制への不満
解決策と重要性
このような思いが根底にあり、「仕事として認識されていない業務に対して、そこまで(マニュアルや体制作り)やる必要はない」という結果に繋がります。そして「必要かもしれないが、やっている時間がないのでやっていない」「時間があればやる」「時間があればできる」とタイムマネジメントの理屈となり、負のループに陥ります。
これは担当者、上司、会社にとっても絶対に良いことではなく、中小企業のデジタル発展やDX推進を阻害している可能性が大です。
解決策を既に実施している企業も多数あります。これらの事例も徐々に紹介していきますが、まずは「時間がないからできない」というネガティブなワードを見直すことが重要です。結局は「時間があってもできません」と言っているのと同じです。問題の重要性や運用のメリットを理解していないこと、マニュアルや運用体制作りが苦手な人が担当していることが原因です。
シンプルな解決策
解決策はシンプルです。
- 思い切って担当者を変える(現実的ではないかもしれませんが)
- サポートスタッフを追加する(筆マメな人を)
- 外部サポートを活用して運用体制を整える
IT担当(OA担当)とIT担当部署は同じような文脈でも全く異なる役割です。この点を踏まえて、シリーズとしてまとめていきます。