シリーズ「中小製造業のシステム部門化への道」の続編です。前回は、「PC好きからIT担当者に抜擢された担当者の気持ちの変化」について書きました。
中小製造業のデジタル化に関するギャップ(思惑の違い)の考察
少々ステレオタイプな表現になることをお許しください。従業員数が100名以下の中小製造業を例にお話しします。
自社が得意分野では好調でも、デジタル案件になると消極的な傾向があります。規模によりますが、デジタル予算やデジタル人材に対する投資も消極的です。それでも、デジタル化の波には逆らえず、OAツールとしてPCの導入が進みます。
PCの増加に伴い、設定(キッティング)が必要になり、プリンター、通信、Officeソフトなどの管理も増えます。PC好きな担当者も最初は興味を持って楽しんでいますが、やがて台数が増え、質問やトラブルも増加します。現場からは頼られますが、職制的には新職種として認められていません。
トラブル対応のために勉強し、経験を積んでも「ひとり情シス」状態から抜け出せません。増員を求めても、現場も同じように人手不足です。IT予算も最低限のPC環境に限られ、上長に相談しても管轄外で解決策が見つかりません。そんな中で「デジタル進化の波やDX対応」の話題が追い打ちをかけます。
このような状況が「中小製造業のデジタル化に関するギャップ(思惑の違い)」につながります。現場にしてみれば「DX以前の問題が山積」です。要は優先順位の問題です。
嘆いていても始まりません。ここを考えて良い方向に導くのが「まちの総務」としての役割です。
次回からは、前向きな課題対応編に入ります。「長年の凝り固まった関係回復は時間がかかる」について解説していきます。