企業の総務担当者と話す機会が多い中で、よく耳にするのは「新卒採用に苦戦している」という声です。少子高齢化が一因ではありますが、それ以上に「高卒人材」の減少が深刻で、「募集しても応募が集まらない」という嘆きが多く聞かれます。

では、即戦力となる高卒就活者はどこへ消えてしまったのでしょうか?

詳しく話を聞くと、「高卒人材」は学校の進路指導室の影響を大きく受けているとのことです。進路指導の先生から推薦がなければ、新卒者の応募はほとんど難しいのが現状のようです。そのため、企業は生徒へのアピールよりも、進路指導の先生への働きかけが成否を左右する重要なポイントになっています。

実はこれは制度的な理由もあります。毎年9月の就活解禁時には、高校生は1人1社にしか応募できません。一方で、大学生は自由に複数社にエントリー可能です。高校生は、進路を自分でしっかりと決められる生徒を除いては、先生や親の勧めに従い、給与や休日など福利厚生の良い企業を選ぶ傾向があります。

また、最近では「高卒」よりも「専門学校」を選ぶ生徒が増えており、高卒エントリー数が減少している現実もあります。

この状況から読み解けることは以下の通りです。

高卒人材の場合:

  • 高校の進路指導の先生の信頼を得ること
  • 親の期待に応えること
  • 最終的には待遇や福利厚生で評価されること

この3つの条件をクリアした企業が、少ない人材を確保できるのです。特に小規模事業所にとっては、厳しい戦いとなります。

「専門学校」へのアプローチ

次に「専門学校」へのアプローチについてです。専門学校の就活生は、高校生とは異なり、複数の企業を自由に選択でき、積極的にインターンシップに参加するなど、自ら動く傾向があります。また、専門学校では専門職に絞った募集が行われ、都内の大手企業も地方の専門学校にアプローチをかけるため、就活生にとっては選択肢が広がります。

「大学生」のケース

最後に「大学生」のケースです。地方から都内の大学に進学した学生は、地元に帰る以外の理由がない限り、やはり都内での就職を第一に考えるようです。一方、地元や地方大学の学生は、自宅から通勤できる地元企業を選ぶ傾向があります。しかし、親としては、高額な大学授業料を支払った子供が地方の無名中小企業に就職することには抵抗があるため、将来性や技術力よりも企業の名前や規模で選ばれることが多いようです。これが、就活マッチングを難しくしている要因の一つです。

このような現状を踏まえ、企業の総務や人事担当者は日々苦戦しているのです。
次回は、これらのターゲットに対して、より適切なアプローチ方法について深掘りしていきます。