中小企業におけるデジタル化の課題がますます注目されていますが、多くの企業では人員や予算の制約により、「ひとり情シス」に頼らざるを得ない状況が続いています。私自身、数々の現場を見てきた経験をもとに、このシリーズでは「ひとり情シスを救いたい」というテーマで、関係者へのアドバイスやエールをお届けしています。
前回の第6回では、「上司の考えを変えるのは難しいが、自分自身を変えるか、自然淘汰を待つ」というテーマで、上司や経営陣との関係をどのように良好に保つかについてお話ししました。
今回は、デジタル化における「投資」の観点を、経営者の立場でどのように考えるべきかに焦点を当ててみたいと思います。
デジタル投資は難解であるが避けては通れない
中小企業の多くは、設備投資に対しては積極的ですが、デジタル関連投資となると慎重な姿勢を取ることが多いです。理由のひとつは「費用対効果が見えにくい」点にあります。例えば、生産設備への投資は直接的に付加価値を生み出す一方で、デジタル投資は効率化や合理化という間接的な効果に留まることが多く、経営者から見ればその価値を実感しにくいのです。
「0.5人分の工数が削減できる」と説明しても、1人分の人件費はそのままかかるため、ピンと来ないというのもよくある話です。
デジタル予算の配分を経営者目線で考える
デジタル化の予算は、慎重に配分を検討する必要があります。ハードウェアはまだしも、ソフトウェアやSaaSのように目に見えない投資に対しては、経営者の慎重さが際立ちます。選択肢が多すぎて、どれを選ぶべきか迷うことも多いでしょう。
このような場面では、「自分が経営者ならどう判断するか」「自分のお金で投資するならどの選択肢を選ぶか」という視点が求められます。デジタル投資だけが特別ではなく、他の予算と競い合う中で、その必要性と重要性をしっかりと説得できるかがカギとなります。
信頼されるIT人材を目指す
最終的に、「何を買うか」だけでなく、「誰に任せるか」が重要です。限られた予算の中で、確実に成果を出す人物は、社内での評価も高いものです。「この人に任せれば間違いない」と思われるようなIT人材を目指し、デジタル投資を成功に導く力を養いたいものです。