中小企業におけるデジタル化の課題がますます注目されています。しかし、限られた人員と予算の中で、多くの企業が「ひとり情シス」に頼らざるを得ない現状があります。このシリーズでは、そうした状況に直面する企業や担当者をサポートするため、私自身の経験を基にアドバイスを提供しています。
前回のコラムでは「データを集め、活用する力の重要性」について解説しましたが、今回は「システム思考よりもデジタル思考」の大切さをお伝えします。
システム化だけでは解決しないビジネス課題
よく「システムを導入すればすべてが解決する」という考え方を持っている方がいますが、これは危険な思い込みです。システムはあくまで手段であり、課題の本質を捉えずにシステム導入を進めると、結果として無駄な投資に繋がることも少なくありません。
特に多くの企業では、表面的な課題にのみ着目してシステム化を進め、根本的な問題を見逃してしまうケースが多く見られます。こうした場合、業務プロセスやデータフローを細かく分解し、問題の本質を明らかにする「デジタル思考」が欠かせません。
デジタル思考で課題を分解する
デジタル思考とは、業務を単に全体像で捉えるのではなく、プロセスやデータの流れを細かく分解・整理する考え方です。たとえば、業務の自動化を検討する際、入力と出力だけでなく、タスクの流れやコア業務とノンコア業務をしっかりと見極めることが重要です。
ノンコア業務を自動化することで、システムの構造はシンプルになり、オリジナル開発にこだわらず、汎用的なシステムを導入できる可能性も出てきます。これにより、コスト削減や効率化が期待できるのです。
結論:システム導入が目的ではない
システム導入を検討する際は、その導入が目的化していないかを必ず確認しましょう。課題解決の手段としてシステムを活用するためには、まずはデジタル思考で業務をしっかりと分析し、本当にシステム化が必要な部分を見極めることが大切です。