中小企業におけるデジタル化の課題が叫ばれる中、多くの企業が人員や予算の制約により「ひとり情シス」に頼らざるを得ない状況にあります。そんな現場を数多く見てきた私の経験から、「ひとり情シスを救いたい」というテーマで、関係者へのアドバイスやサポート内容をシリーズ企画としてお届けします。

前回は「システム思考よりもデジタル思考が重要」というテーマで、デジタル時代に必要な思考の転換について解説しました。今回は、少し視点を変え、「IT担当者に求められる隠れたスキル」として、イベント幹事力について考察します。

隠れた必須スキル!IT担当者に求められるイベント幹事力とは?

IT担当者の隠れた必須スキルは「段取り力」!その実例としてのイベント幹事
IT担当者やシステムエンジニアの仕事は、業務を段取りし、タスクをフローにまとめてプログラム設計や開発を行うことです。つまり、計画力やタスク管理能力が必要不可欠なスキルとなります。

これに似たスキルとして、私が思い浮かべるのは「宴会幹事」や「旅行企画」です。たとえば、宴会幹事であれば、人数の把握からお店の予約、会の進行、集金、盛り上げ役まで、多岐にわたるスキルが求められます。得意な人にとっては自然にこなせる業務ですが、苦手な人にとっては避けたいタスクの代表格です。

また、旅行企画でも、参加者の募集、行き先の決定、予約、スケジュールの作成など、すべてを一つのプロジェクトとして段取りする必要があります。これらの計画力は、システム開発にも通じるものがあります。

システム開発とイベント企画の類似点

システム開発のプロセスとイベント企画は驚くほど似ています。以下のように置き換えると、共通点が見えてきます。

  • 関係者にヒアリングし要件を確認:参加者の募集
  • 目的を明確化:行き先の決定
  • 業務を細分化しタスクに分ける:何をするか決める
  • フローチャート作成:スケジュールの作成
  • 設計:旅のしおりの作成
  • 実装:当日を迎える
  • デバッグ&導入:反省会

このように、システム開発とイベント幹事には驚くほどの共通点があり、段取り力や計画力がIT担当者にとって不可欠なスキルであることがわかります。これらは訓練というよりも、性格や特性に依存する部分もあるかもしれませんが、確実に有用なスキルです。

結論として、「IT担当者はディレクターである」という考え方にたどり着きます。組織をスムーズに動かすために、IT担当者はイベント幹事としてのスキルを磨くことが、さらなる成長に繋がるでしょう。