IT部門で避けては通れない業務のひとつが「バックアップ処理」です。特に、企業におけるファイルサーバー(共有サーバー)の管理は、IT担当者にとって負担が大きく、責任も伴います。PCが数台程度なら問題は少ないかもしれませんが、数十台から数百台規模になると、管理は一層複雑になります。

前回は、技術的な側面よりも「バックアップの考え方」についてお話ししましたが、今回は具体的なバックアップの方法とその特徴について掘り下げていきます。

どのバックアップ方法がベストなのか?

「バックアップの方法は色々あるけど、どれが一番いいの?」といった質問をよく受けます。実際、バックアップの方式は複数あり、それぞれにメリットとデメリットがあります。今回は、それらの特徴と、選び方の考え方を整理してみましょう。

まず、バックアップからデータを戻すケースを想定してみます。

  • 物理的なハードディスクの故障(HDDの破損)
  • ユーザーが誤ってファイルを削除してしまった場合
  • 想定外のウイルス感染(今回は割愛)

これらの状況を前提に、それぞれに適したバックアップの考え方を見ていきます。

ハードディスクの故障に備える

物理的なハード故障に対応するためには、故障時点にできるだけ近い状態のバックアップが必要です。このような場合、フルバックアップが有効です。フルバックアップを定期的に取得しておくことで、問題発生時に最も影響を抑えることができます。

ユーザーの誤操作によるファイルの削除

こちらは、管理者にとってそれほど重大な問題ではないかもしれません。最悪の場合、ファイルを作り直せば対応できますが、それでもバックアップがあると安心です。

バックアップの具体的な方法

バックアップには「フルバックアップ」「増分バックアップ」「差分バックアップ」といった種類があります。それぞれの違いは、インターネット上で多くの情報が出回っているので、参考にしてくださいが、基本的には以下の組み合わせが推奨されます。

  • フルバックアップ:半年に一度、または年次で計画的に実施
  • 増分バックアップ:日々の夜間などにスケジュールして実施

これらを適切に組み合わせることで、効果的なバックアップ体制を整えることができます。

フルバックアップの世代管理について

フルバックアップの世代管理を意識する必要はそれほどありません。基本的には最新のフルバックアップを上書きしていけば問題ないでしょう。

バックアップはインフラ管理の影の仕事

バックアップ作業は、普段あまり注目されることのない業務ですが、何か問題が発生した際には責任が追及されることも多く、地味に辛い役割です。しかし、適切な手順で運用すれば、ITインフラ管理の大きな武器になります。神経を使う部分もありますが、上手にバックアップを活用していきましょう。