AIに関する話題が盛り上がる中、「AIでなくなる仕事」といったキャッチーなテーマがよく取り沙汰されています。このような議論は一見、正論に聞こえる反面、どこかピントがずれているモヤモヤ感も否めません。そこで、感情的な議論に惑わされず、業界や業務内容を整理し、AIの活用を通じて業務を合理化する方法を冷静に考察していきたいと思います。

前回は AIで変わる未来の仕事:「システム開発」と行政手続きの行方(Part 1)について書きました。
今回は「行政手続き」を例に、AIがどのようにシステム開発に変革をもたらすかを具体的に探ります。


行政手続きにおけるシステム開発の再定義

行政手続きは統一されたルールやフォーマットに基づいて進められるため、AIを活用して効率化を図るには最適な分野です。この分野では、「汎用性」と「オリジナリティ」のせめぎ合いが鍵となります。共通項の多い業務を統合し、AIで合理化することで、より効率的な仕組みを実現する道が開けます。


AIで行政手続きはどう変わる?

行政手続きの進化を考える上で、以下の2つの視点に絞って検討します:

  1. AIによる行政手続きシステムの自動開発
  2. 行政手続きのリモート化

1. AIによる行政手続きシステムの自動開発

従来、行政手続きシステムの開発には膨大な時間とコストがかかっていました。しかし、AIの力を借りることで以下のような仕組みが現実化するかもしれません:

  • ユーザーが希望するシステム仕様をAIに設計させ、それに基づいてデータベース設計やコード開発を自動化。
  • クラウド上に行政データベースを構築し、税率や法規制に基づいた条件情報をAIがリアルタイムで適用。
  • ユーザーは簡単な質問に答えるだけで、必要な行政手続きが完了。

こうしたシステムが実現すれば、プログラム開発という従来の概念自体が不要になる可能性もあります。むしろ、AIがリアルタイムで最適な処理を行うだけで、すべてが完結する世界が見えてくるでしょう。

2. 行政手続きのリモート化

AIによる自動化が進むと、行政サービスのリモート対応もセットで実現するはずです。たとえば:

  • マイナンバーを活用し、スマートフォンでワンクリック手続きが可能に。
  • 定期的な手続きはAIがリマインドし、自動で処理を完了。
  • 窓口業務は、特別なサポートが必要な人だけに限定される。

こうした仕組みは、ユーザーの利便性を大きく向上させるだけでなく、行政の効率化にも寄与します。


AIが「冷たさ」を補う人的サポートの重要性

効率化が進む一方で、AIが苦手とする分野――たとえば高齢者や障害者への配慮が求められる場面――には、人的サポートを充実させる必要があります。テクノロジーの冷徹さを、人間の温かみで補完することで、よりバランスの取れた社会が実現するでしょう。

早急にこれらを具現化し、「公務員削減」を叫ぶような議論をするつもりはありません。しかし、結果的に効率化が進めば、AIでは補えないエッセンシャルな業務にリソースを再配分する流れは自然なものと考えられます。


次回は、企業のバックオフィス業務におけるAI活用について掘り下げます。業務効率化の具体的な手法や、人間の役割がどのように変わるのかを考察します。お楽しみに!