仕事を進める中で、重要性を理解しながらも軽視されがちな業務トップ3といえば、次のようなものが挙げられます:
- マニュアル作成
- 議事録作成
- 日報作成
これらは、業務を円滑に進めるためには欠かせないものの、しばしば「雑務」として扱われ、メイン業務から外されがちな業務です。
よくある現場の実情
マニュアル作成
「時間ができたときにやる」と後回しにされ、結果として「時間ができることはない」。
議事録作成
重要な仕事でありながら、若手が担当するのが当たり前となり、ただの備忘録作成に数時間を費やすという儀式化。
日報作成
上司の指示で形だけ作成しても、上司自身が忙しくて確認できず、いつしか形骸化。
こうした業務が軽視される背景には、「メイン業務ではない」「評価されない」といった意識が根底にあります。しかし、これらの業務をおろそかにすると、業務効率や組織の成長に大きな影響を及ぼします。今回は、その中でも「マニュアル作成」に焦点を当て、解説していきます。
マニュアル作成が後回しになる理由
企業の属人化防止やノウハウの継承のため、マニュアル作成は欠かせません。それにもかかわらず、多くの現場で後回しにされる理由を見てみましょう。
表面的な理由
- 「時間があるときにやる」という担当者の意識
- 上司が指示を出しても、忙しさを理由に進まない
深層的な理由
- 現状、マニュアルがなくても仕事が回っている
- 必要性を感じるタイミングが限られている(担当者交代時など)
- 作業が面倒くさい
- メイン業務ではないため評価されない
- マニュアルを作ること自体が大変だと感じる
- 文書作成が苦手
現場の実態として、マニュアル作成が「できていない」企業は少なくありません。ISO取得企業でさえ、専任担当が一部を作成しているに過ぎないことがほとんどです。
マニュアル作成を進める3つのポイント
マニュアル作成を成功させるためには、以下の3つが重要です。
- 上司がマニュアル作成の重要性を理解し、仕事として位置づけること
- 担当者が業務の一環として取り組む意識を持つこと
- 簡易的な雛形を用意し、誰でも取り組める仕組みを整えること
今回は、この3つ目「簡易雛形」について詳しく解説します。
マニュアル作成の簡易雛形とその活用法
マニュアル作成が苦手な理由の一つに、「どうやって作ればいいかわからない」という問題があります。また、文書作成や箇条書きが苦手な人も少なくありません。そのため、以下のようなフォーマットを準備し、簡単に作成できる仕組みを整えます。
1. 処理フロー作成
業務全体の流れを箇条書きで把握します。ポイントは詳細にこだわらず、処理のフローチャートとして全体像を明確にすること。番号を振ることで、関係者全員が共通認識を持てます。
2. 各フローの5W1Hを簡潔に記載
番号を振ったフローをもとに、Excelシートを活用して以下の内容を表形式で整理します
- 入力情報(インプット)
- 出力情報(アウトプット)
- 情報の入手先
- 情報の受け渡し先
5W1Hに沿って記載することで、わかりやすいマニュアルになります。
3. 各フローの詳細説明を画像付きで記載
具体的な処理内容や注意点を、画像や例を用いて説明します。ここでは細かい詳細にこだわりすぎず、手がかりとなる内容を簡潔に記載することがポイントです。
マニュアル運用の重要性
マニュアルは最初から完璧を目指す必要はありません。目的は属人化の防止とノウハウの継承です。初期段階では簡易的なもので十分です。その後、以下のステップでマニュアルを「成長」させていきます
- 担当者交代や新人教育の際に、マニュアルを活用し、不明点をその場で追記する
- 手書きのメモではなく、Excelのマニュアルに直接記載してもらう
完成度を高めていく中で、職場別や業務別に番号を付け、共有ファイル上で管理することが重要です。
「雑務」を極めることが、組織の成長を支える
「雑務を極める。仕事の基本は記録にあり」
この格言を胸に、マニュアル作成を実践してみてください。属人化を防ぎ、業務を円滑に進めるための第一歩として、大きな成果が期待できるはずです。
次回は、「議事録作成」について掘り下げます。お楽しみに!