
IT担当者にとって最も重要な業務とは?
長年にわたりIT業務に携わる中で、「ビッグデータ」の重要性を実感してきました。
「ビッグデータ」と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、要するに「情報を蓄積する」ことが本質です。
しかし、この基本的な取り組みができていない企業は意外に多いのが現状です。
特に中小企業のIT担当者は、他の業務と兼任しているケースが多く、日々多くのPCトラブルや問い合わせ対応に追われています。
規模が大きい企業では、数百台のPCを管理しながら、多種多様なトラブルに対応していることでしょう。
IT担当者が抱える課題
IT担当者は、技術的な知識が豊富であり、比較的スピーディーに対応してくれる頼もしい存在です。
しかし、1件1件の対応が軽微であったとしても、それが積み重なると大きな負担となります。
上司も全体の状況を把握できておらず、「何やら忙しくしているな」と他人事のようになりがちです。
「ナレッジを蓄積していますか?」と尋ねると、ほぼ100%の確率で「していません」と返ってきます。
その理由を聞くと、「些細な内容なので報告するまでもない」と答えることがほとんどです。
しかし、この「些細な内容なので報告するまでもない」という考え方は、大きな間違いです。
担当者個人の視点では些細なことでも、業務時間中の対応は「会社としての業務」であり、適切に管理されるべきものです。
IT担当者は「運用が得意」だが「管理が苦手」
多くのIT担当者は、運用業務には長けていますが、管理業務が苦手な傾向にあります。
例えば、1件の問い合わせ対応に10分かかるとして、それが1日10件あれば100分(1時間40分)に相当します。
これが毎日続けば、膨大な時間を費やすことになります。
その結果、上司も「何がそんなに忙しいのか分からない」と判断できず、
IT担当者も「こんなに忙しいのに、上司は理解してくれない」と感じるようになります。
このような認識のズレが積み重なると、職場の関係が悪化する可能性もあります。
「FAQナレッジ台帳」の作成を業務として定着させる
最低限の管理として、「FAQナレッジ台帳」を作成し、日々の対応を記録することを推奨します。
FAQナレッジ台帳(Excelフォーマット)
【必須項目】
- 日付
- 依頼者
- 問い合わせ内容
- 対応内容
- 対応者
- 対応時間
【必要に応じて追加】
- 項目分類(ハードウェア、ソフトウェアなど)
- 再現性(頻発する、突発的など)
- 緊急度(A、B、C)
- マニュアルの有無
この情報を共有フォルダなどに保管し、適切に管理しましょう。
「対応件数が多すぎて大変」と感じるかもしれませんが、
これは業務管理の基本であり、最低限の情報整理として定着させることが重要です。
まずはすぐに始めよう
このナレッジ管理は、Excelフォーマットを作成するだけで簡単に始められます。
これにより、日ごとの対応件数や時間を可視化でき、
「思ったより多い」「意外に少ない」といった感覚的な判断ではなく、
数値に基づいた正確な分析が可能になります。
ここまでが「ナレッジ(ビッグデータ)」の蓄積に関する管理の基本です。
次回は「蓄積した情報の分析と活用」について解説します。
まずは、今日からナレッジ管理を始めてみましょう!