
「興味」や「好奇心」がなければ、どんな物事も前に進みません。これはデジタルに限らず、すべてに通じる普遍的な真理です。
例えば車、DIY、アウトドア、コレクションといった趣味の世界でも、興味がなければまったく関心を持てないのが人間というもの。見向きもされないのは、単純に“自分ごと”ではないからです。
では、本題の「デジタル」に話を移しましょう。
デジタルに必要なのは、興味より先に「動機づけ」
「興味や好奇心」がデジタル活用において重要なのは事実ですが、そもそもその前段として“動機づけ”が必要不可欠です。
たとえば以下のようなものが挙げられます。
ポジティブな動機
- 遊びから自然に入ったデジタル体験
- 最初に手にしたのがスマホだった(Z世代)
- ものづくりや表現欲求を満たす手段としてのデジタル
- 自作PCなど、自分の思い通りに組み立てたい衝動
ネガティブな動機
- 必要に迫られて仕方なくデジタルを導入
- 仕事だから仕方なく
- 周囲の同調圧力によるプレッシャー
確かに、Z世代などの“デジタルネイティブ”は有利に思えます。しかし、彼らのすべてがデジタルに興味を持っているわけではありません。逆に、上の世代にも一定数の“デジタル好き”が存在します。
仕事におけるデジタルとの付き合い方
現代のビジネスでは、デジタル活用は避けて通れません。日々の業務だけでなく、買い物や情報収集といった日常生活においても同様です。
とはいえ、「デジタルの押し付け」は逆効果。拒否反応を生むだけで、むしろ心を閉ざしてしまうリスクがあります。ここでは「北風と太陽」の話が参考になります。
興味が薄い人をどう巻き込むか?
「興味・好奇心が薄い人をどう巻き込むか」は、企業にとっても国のデジタル政策にとっても大きな課題です。
「リスキリング」や「デジタル人材育成」など、環境整備は進められていますが、人の意識を外から変えるには限界があります。
かといって、変わるのを待っていては企業も組織も時代に取り残されてしまいます。
デジタル格差の本質は“中間世代”にあり
Z世代のような若年層は問題ありません。高齢者は、ある程度自然の流れに任せても構わないでしょう。
しかし、最も課題が大きいのは40〜50代の“中間世代”です。
- キーパーソンを見極めて、周囲へ波及させていくか
- あえて型にはめて強制的に進めるのか
- 割り切ってデジタル対応層と非対応層を分けるか
もはやこれは、企業内のDX戦略というより、社会政策に近いテーマとも言えるかもしれません。
右か左か、リベラルか保守か――そんな二元論ではなく、柔軟な発想で多様な手法を組み合わせることが求められます。