「現場が忙しすぎて、改善や改革に取り組む余裕がない」——
これは、多くの企業から寄せられる非常に現実的な相談内容です。

特に、比較的人員に余裕のある大手企業であれば、リソースの再配置や応援体制の整備で何とか対処できるケースもあります。しかし、もともと人員がぎりぎりの状態で、さらに生産数や残業が多く、従業員が疲弊しているような小規模事業者では、そう簡単にはいきません。

■ 経営者の危機感と、現場の限界

多くの経営者は、現状に決して満足しているわけではありません。
このまま何も手を打たなければ、組織全体が疲弊し、ひとたびトラブルが発生すれば事業継続すら危うくなる——そうした危機感を抱えています。

とはいえ、受注は好調で、できる限りの対応を続けたい。
人員は不足し、設備はフル稼働。
先の見通しが立たない中での設備投資や人員増強にはリスクが伴い、
遠い未来よりも「今をどう乗り切るか」で頭がいっぱい——。

まさに、「卵が先か、ニワトリが先か」という状況に近いのです。

■ 外部からは見えにくい、小さな現場の切実な現実

一見すると「計画性のない経営だ」と批判されがちな状況かもしれませんが、
実際には、こうした悩みは中小製造業などでは決して珍しくありません。

対策が「ない」わけではありませんが、一般論では通用しない現実があります。

たとえば:

  • 今の地獄をどうにかしのいで、次に備えた計画を立てるべきか?
  • 思い切って“カンフル剤”として設備投資に踏み切るべきか?

外部から無責任にアドバイスするのは簡単です。
しかし、そうした先送りによって、将来により大きなリスクを抱える可能性もあります。

■ まず確認すべきは「社内の無駄と改善余地」

こうしたケースでは、以下のような観点から現状を見直す必要があります。

  • 要求量は社内の処理能力(人員・設備)を超えていないか?
  • 限られた人員の中で、非効率な作業はないか?
  • 在庫管理や部材の運用は適正か?
  • 作業計画に優先順位や段取りの工夫があるか?
  • 作業導線や品質管理は最適化されているか?

このような話を聞いていると、経営者や現場リーダーは「作業量」や「遅れ」に注目していても、「作業の質」や「非効率の見直し」については、あまり語られないことが多い印象です。

結果として、「何から手を付けるべきか」までは見えても、「誰が、どうやって進めるか」という肝心な部分が決まらず、手が止まってしまうケースが多くあります。

■ 現場の“Help”を受け止めるのが「まちの総務」の役割

「明確な対応策が見つからない」——
そんな時こそ、第三者の視点が活きてきます。

このような場合の最適解は、外部の専門家に相談することです。
いわば「改善のプロ」による現場診断と、課題への優先順位づけが必要です。

ここで必要なのは、「あなたの困ったは、すでに誰かが答えを持っている」ことを信じ、相談する勇気です。
それこそが「まちの総務」の出番です。

■ 「忙しい」を分解するところから始めよう

「忙しい」は、思考停止の言い訳にもなり得る言葉です。
少し厳しい言い方かもしれませんが、
「休憩もトイレも昼食も取れないほど忙しいですか?」と問いたくなるケースもあります。

まずは「忙しい」を分解しましょう。
何を減らし、何を置き換えればよいのか——
そこから一緒に考えていくことが大切です。

「忙しい」に心を奪われると、目先の仕事すら見誤ることがあります。
他力本願で「誰かがなんとかしてくれる」となってしまっては、根本的な改善は望めません。

■ 共通課題を見つけ、解決策を共有する

守秘義務の関係上、企業名や具体的事例を挙げることは難しいですが、
「現場が忙しすぎて改善できない」という課題は、実に多くの企業に共通しています。

だからこそ、「あなたの困ったは、すでに誰かが答えを持っている」
という言葉を、繰り返し伝えたいのです。

今後は、こうした現場の改善事例をオブラートに包みながらシリーズ化し、
同じような悩みを抱える多くの企業に向けて、少しでも“現状打破”のお手伝いができればと考えています。