シリーズ化している「中小製造業のシステム部門化への道」について、前回は「事象の棚卸しと優先順位付け」について書きました。今回は具体的な進め方編として「マニュアル化と情報ナレッジ」について解説していきます。

「マニュアル化と情報ナレッジ」の重要性

「マニュアル化と情報ナレッジ」は多くの人が避けがちな業務ですが、情報化時代においては不可欠です。IT担当者として、実務運用はもちろん重要ですが、これらの情報管理業務は避けて通れません。

マニュアル化が必要な理由

マニュアルの必要性については、これまでのブログでも繰り返し啓蒙してきました。多くの方は「マニュアル」と聞くと立派な業務マニュアルをイメージするかもしれませんが、新入社員の頃を思い出してください。先輩社員から教わった際にノートにメモを書きましたよね?まずはそのレベルで十分です。

ただし、手書きではなく必ずテキストデータとして残すようにしましょう。NotePadやWord、Excelなど、どんなツールでも構いません。表題を付けて手順を記録し、情報を蓄積する癖をつけましょう。

最初から完璧を目指す必要はありません。メモを積み重ね、次回使用時に不足部分を追加しながら精度を上げていくイメージで進めます。重要なのは、マニュアルを残す習慣をつけることです。

マニュアルの効果

例えば、PC設定などの業務をIT担当だけでなく、マニュアルを基に他のメンバーにも任せられるようにします。一般的な内容はIT担当が行う必要はなく、少なくとも部署に1人はマニュアルを基に業務を行えるようにしましょう。

情報のナレッジ化

情報のナレッジ化も面倒な業務の一つですが、重要です。業務日誌のような形で、何をいつ、誰のために、何をしたか、どのくらい時間がかかったかを記録する癖をつけましょう。簡単なフォーマットを決めて、質問事項やトラブル対応なども記録します。データを蓄積することで、FAQナレッジが形成されます。

情報のナレッジ化の効果

情報の再利用が可能になり、「過去トラブル」の際に対応マニュアルが役立ちます。情報が蓄積されると、トラブルや問い合わせの多い事象や要因が見えてきます。そこから対応策を決定し、予算化や第三者を交えた対応策の検討を行います。これにより、IT担当者の業務が社内で認識され、やっつけ仕事からきちんとした業務へと昇華します。

最後に

「忙しくてマニュアルやナレッジを残す暇がない」という過去の言い訳から脱却し、まずはきちんとした体制作りの第一歩として、「マニュアル化と情報ナレッジ化」は絶対に必要です。IT担当者はここから逃げてはいけません。苦手な場合は、この部分だけを担当するスタッフを配置するくらい重要な業務です。

次回は「何にコストをかけるか」について解説します。