経営者や担当者の方々とお話しする中で、「我が社の課題は特別だ」と感じている方が多いと気づくことがよくあります。もちろん、業種や顧客に応じて違いはありますが、管理や運用に関しては共通点が多いのです。
たとえば、ISOを例に取ってみましょう。ISOは「世界標準」としての管理マニュアルであり、特定の職種に言及しているわけではありません。しかし、企業が抱える課題を話す際には、「独自の課題」が強調されがちです。これは、特定の分野に没頭しすぎて、広い視野を失っている場合も少なくありません。専門家目線で物事を見すぎて、大切な第三者の視点を忘れてしまうこともあります。
しかし、一歩引いてみると、意外にも課題の根本は共通していたり、他社では既に解決済みだったりすることがわかります。
再びISOの話題に戻りますが、ISO(国際標準)は日本標準ではない場合もあります。それでも、多くの共通点があり、学ぶべきことが多いのです。経営から品質、製造、設計、開発、営業など、製造業において一般的に網羅されている管理手法や管理体制が存在し、それらがシステムとして機能しています。
在庫管理や進捗管理なども基本的には同義です。まずは基礎設計を行い、その上に自社のオリジナルを追加するという考え方が重要です。最初から自社専用のシステムを開発するのではなく、汎用的な部分から評価し、必要に応じてオリジナル要素を追加することで、コスト削減や外注依存の軽減、社内での技術継承の問題解決につながります。
まずは専門的な視点から一歩引き、同業他社や異業種からの情報を収集し、知見を広げることから始めてみましょう。
「我が社は特別」という思考から「まずは汎用」へ
このような視点で再設計することで、意外と気持ちが楽になり、無駄なコストを抑えてデジタル化を進めることができます。すでに多くのアプリが販売されており、「アプリの民主化」も進んでいます。「我が社は特別」という思考から「まずは汎用から」という柔軟な発想に転換してみてください。
結局のところ、システムとは「入力した情報を加工して出力する」ことが基本であり、その繰り返しで大きな仕組みになるものです。できる限り共通性を持たせた運用管理を進めていきましょう。