「まちの総務」を通じて、企業の総務・人事担当者とお話する機会が多くあります。特に地方の中小企業では、「採用活動に苦労している」という声をよく耳にします。若者の人口が減少している状況にもかかわらず、毎年一定数の高校生が卒業している中で、彼らがどのような進路を選んでいるのかが気になるところです。

採用活動の課題

企業が直面している課題を整理すると、以下のようになります。

  • 新卒大学生:多くが都内近郊の大学へ進学し、都内での就職を優先する傾向があります。
  • 地元就職の大学生:一部は地元で就職しますが、その割合は少なく、競争が激化しています。
  • 新卒高校生:地元の製造業などでは即戦力として期待されていますが、その絶対数は大幅に減少しています。

新卒高校生の進路

担当者との話を深堀りする中で、新卒高校生の進路についての現状が見えてきました。全体的な少子高齢化により、高校生の絶対数は減少していますが、それでもまだ一定数の高校生が存在します。かつては普通科の生徒が進学を選び、工業や商業系の生徒が就職するのが一般的でしたが、最近は状況が変わってきています。

専門学校への進学増加

近年、専門学校への進学が増えているというトレンドが見られます。専門学校では大学卒業資格を取得できないものの、専門職としての即戦力となる人材を育成しており、就職率が非常に高いです。地方の専門学校でも都内の高給待遇の企業が採用活動を行っていることもあり、企業の採用担当者が高校の就職相談室だけでなく、専門学校にも積極的に足を運んでいます。

高卒就職活動の「一人一社制」

もう一つの側面として、懸念されるのは「一人一社制」というルールです。これは、高校生が本業である学業に集中するための措置として、就職活動の時間が制限されていることが理由とされています。このため、大学生のように複数の企業にエントリーすることができず、進路相談室の限られた情報の中から一社に絞って応募するしかありません。

「一人一社制」とは、企業が自社への応募に際して単願を求め、学校側も応募の推薦を一社に制限する制度です。生徒はその企業から内定を得られなかった場合、初めて他の企業に応募できるようになります。このルールは行政や都道府県の判断で決められており、解除されている地域もあるようです。

まとめ

以上のような制度が存在する中、企業が積極的に高校生を採用することが難しくなっている状況がうかがえます。その結果、高校生が専門学校へ流れる傾向が強まっているのではないかという仮説も考えられます。今や高校生の就活生は貴重な存在となっており、彼らの採用戦略についてさらに探っていく必要があります。