昭和を生きた多くの日本人にとって、「約束を守ること」は道徳心として深く根付いています。もちろん、例外的に嘘をつく人もいますが、基本的には「言ったことは守る」という意識が日本の文化の一部です。この価値観から、自分だけでなく相手も約束を守るべきだと考える傾向があります。

そのため、誰かが約束を破ると、イライラしたり不機嫌になったりしやすいのも事実です。これは日本独特の文化的な影響が強く反映されているようです。

しかし、SNSやインターネットで世界の情報に触れる機会が増える中で、実は「約束を守る」ことを重視するのは日本人特有の考え方であることがわかってきました。もちろん、日本国内でも地域差はありますが、世界では「約束はあくまで努力目標」という認識が一般的な国も少なくありません。

例えば、「何日の何時に水道の修理に伺います」と言われ、何時間も遅刻したり、連絡がなかったりするケースは、世界的にはそれほど珍しいことではないようです。日本人ならすぐに苦情の電話をするところですが、他国ではそれが「普通」として受け入れられていることもあるのです。

では、どちらが正しいのでしょうか?どちらが生きやすいのでしょうか?これは意見が分かれるところでしょう。

一つ言えることは、「時間を守る」という行動ひとつとっても、人や状況によって判断が異なることが多いという点です。例えば、飛行機の搭乗時間を守らなければならない場合、ほとんどの人は大きな損失を避けるために遅れないでしょう。しかし、待ち合わせや打ち合わせの時間に遅れる場合、遅刻に対しての感覚は異なるかもしれません。

極論を言えば、「約束を守るかどうか」はその人自身の価値観や状況次第で判断されているように思います。それは「道徳心」ではなく、本人の意思によるものと言えるでしょう。

ですから、最近の若者や少しの遅刻に対して過度にイライラせず、適度な落とし所を見つけて、柔軟な関係を築いていくことが重要です。郷に入れば郷に従えという言葉もありますし、これからますますグローバル化が進む中で、自分を窮屈にしない程度に柔軟さを持ちたいですね。