デジタル化とDX(デジタルトランスフォーメーション)の境界線は、現場ではしばしば曖昧です。
デジタル技術を取り入れたDXもあれば、デジタル技術とは無関係なDX(デジタル由来の意識改革)もあり、混乱を招くことが少なくありません。
今回は、「情報の一元化」をテーマに、どこまでがデジタル化で、どこからがDXなのかを整理しながら、具体的な事例を考察します。もし解釈に違いがあれば、ぜひご意見をお寄せください。
業務テーマ:「情報を一元化して無駄な転記作業を撲滅しよう」
このテーマは、事務作業の多い事業所や士業事務所で応用可能な事例です。
多くの職場では、PCが各担当者に配備され、ファイル共有環境も整っています。しかし、情報が一元化されておらず、以下のような非効率が発生しています:
- 紙情報を元にした二重・再転記の多発
- 再入力による転記ミスや確認作業の頻発
- 「昔からのやり方」という固定観念による非効率の見過ごし
これらの課題に対し、ある士業事務所での具体的な対応策をケーススタディとして紹介します。
ケーススタディ:士業事務所のDX実践例
この事務所では、すでに以下のような環境が整っていました:
- 各担当者にPCを配備
- ファイル共有環境が構築済み
一見、デジタル化が進んでいるように見えますが、実際には非効率が残っていました。
現場での課題をヒアリングしたところ、次のような問題が浮かび上がりました:
- 紙のヒアリングシートを使用
・顧客面談時に、紙のフォーマットに手書きで情報を記入していた。
- 転記作業の多発
・事務所に戻ってから、ヒアリングシートの内容をシステムに入力。
・他の事務員も同じ情報を別の書類作成のために再入力。
- 確認作業の負担増
最終的に別のスタッフが転記ミスを確認するという重複作業が発生。
解決策と成果
これらの課題に対し、以下の施策を実施しました:
- 紙のヒアリングシートの廃止
・モバイルWi-Fiを導入し、客先で直接PCに情報を入力。
- 転記作業撲滅キャンペーンの実施
システム上のデータを活用し、再入力を不要に。
- 入力ミス削減のためのコピペ活用
・手入力を減らし、正確性を向上。
- 確認作業の軽減
・転記作業を廃止することで、確認工程の負担を大幅に削減。
結果と意識改革
これらの施策を通じて、次のような成果が得られました:
- チーム全体でデジタルツールの有効活用が進み、共有認識が向上。
- 小さな改善を積み重ねることで、意識改革が促進され、デジタル化の恩恵を実感。
「情報の一元化」と「無駄な転記作業の撲滅」は、DX成功の第一歩です。今回の事例が、皆さんの現場改善のヒントになれば幸いです。
まとめ:DX成功へのカギは小さな改善の積み重ね
小さな取り組みでも、現場全体の意識改革に繋がることで、DXの成功を加速できます。貴社でもまずは「情報の一元化」に取り組んでみてはいかがでしょうか?