「まちの総務」として地域で地道に活動を続けていますが、その目的のひとつに掲げているのが「共助の世界」を実現するためのプラットフォームづくりです。

その基本コンセプトは、
「あなたの困ったは、すでに誰かが解決できる」
という考え方。

人には仕事でも私生活でも、さまざまな困りごとがあります。そんな時、そっと寄り添い、解決へと導いてくれる誰かがいれば、どれだけ心強いでしょうか。

前回は「牛屋さんの共助モデル」についてご紹介しました。
前回記事:「まちの総務『共助の世界』プラットフォーム解説① 牛屋さん共助モデル」

今回は、その第2弾として中小製造業における「設備保守の共助モデル」について解説します。

■ 設備保守の共助モデルとは?

この取り組みはまだ構想段階で、実証フェーズに入ったばかりではありますが、将来的なプラットフォーム化を目指しています。

モデルの概要は、複数の中小製造業と契約を結んだ「設備保守のプロ集団」が、各社の設備メンテナンスを支援する仕組みです。

■ 発想の原点:大手企業と中小企業の保守体制の違い

このモデルの着想には、筆者自身の原体験があります。

大手企業では、専門の設備技術部門が整備され、設備メンテナンスのプロフェッショナルが常駐しています。設備が故障すれば、彼らが分解・修理・組み立てを行い、ときには電装品のハンダ修理や中古機械からの部品調達、改造対応までもこなします。

分かりやすく例えるなら、「どんな車種でも修理できる街の自動車整備工場」のような存在です。

一方、中小製造業ではどうでしょうか?

人員に余裕がなく、現場作業者はいても、設備保守を専門的に管理できる体制が整っている企業はごくわずか。多くの企業は「設備の故障=メーカー対応」が基本です。

しかも、保守契約が切れた古い設備を長年使い続けている現場も多く、「修理不能=生産停止」というリスクと常に隣り合わせです。

■ そこで「共助」の出番です

このような中小企業の課題を、共助の力で補うことができないか。

たとえば、設備保守の専門知識を持つベテラン技術者や、かつて大手企業で設備技術に携わっていたOB人材を集めて、専門家集団を結成します。そして複数企業の設備保守を分担して担う「共助チーム」を組織化するのです。

■ 共助モデルの運用イメージ

実際のモデル案は以下の通りです:

  1. まずは5〜10社程度と契約し、設備保守チームの人件費を確保
  2. 対象となる設備を選定し、定期的にメンテナンス訪問を実施
  3. 各マシンの構造や性能を理解した後、IoTセンサーなどを導入し状態監視を開始
  4. トラブル発生時は緊急対応を実施

この運用を定額の月額契約で複数企業と締結することで、共助モデルを安定的に運営できる形を目指します。

■ 双方にメリットのあるモデル

  • 企業側のメリット:少ないコストで「安心」を購入できる
  • 技術者側のメリット:継続的な収入とセカンドキャリアの活用機会を得られる

特に企業OBの方々にとっては、これまでの経験を活かしつつ、地域に貢献できる新しい働き方としても期待できます。

■ 現場からのリアルな疑問:「うちの設備にも対応できるの?」

当然ながら、企業によって設備の種類やメーカーはさまざま。
「本当に全部に対応できるのか?」という不安の声があるのも事実です。

この点については、次回のコラムで詳しく解説します。

■ まとめ:共助で支える、持続可能な製造現場へ

設備保守の共助モデルは、単なるアウトソーシングではなく、「地域の知見と経験を共有し合う仕組み」です。 中小企業同士がつながり、プロ人材と協力し合うことで、「困ったときに頼れる仕組み」を築く。
これこそが、「共助の世界」の本質です。

今後も、この構想を地道に実装に近づけていきたいと考えています。