
IoT(モノのインターネット)という言葉が一般化して久しくなりました。
ビジネスの現場では「結局、何に役立つのか」と感じる方も少なくないかもしれませんが
デジタルガジェットに関心のある立場からすると、具体的な成功事例に触れるたびに
その可能性を改めて実感します。
センサー技術そのものはすでに成熟段階
なかでも、スポーツ分野とIoTデータの親和性は非常に高い領域です。
センサー技術そのものはすでに成熟段階にあり、今後の鍵を握るのは
「取得したデータをいかに有効活用できる環境を整えるか」という点にあります。
特にスポーツ界では、データ分析の重要性が広く理解されており、スポーツサイエンスという
専門分野が確立されているほどです。こうした専門家が分析すべき情報をIoTで自動取得できるように
なれば、競技力向上や安全管理の分野で技術革新が一気に進むことは間違いありません。
実際、スポーツにおけるIoT活用は今に始まった話ではありません。
すでに数十年前から、選手一人ひとりにGPSセンサーを装着し
運動量やポジショニング、コンディション管理を行う取り組みが進められてきました。
ラグビー選手のユニフォームの首元付近に装着されているセンサーを目にしたことがある方も
多いでしょう。こうしたデータを基に、チーム戦略やトレーニング方法が緻密に設計されています。
「命を守るIoT」スマートマウスピース
今回注目したいのは、「命を守るIoT」とも言えるスマートマウスピースです。
近年、多くの競技でマウスピースの装着が一般化していますが、これは噛み締めによる
パフォーマンス向上だけでなく、安全面でも重要な役割を果たしています。
そのマウスピースにセンサーを組み込み、選手の生命リスクを低減しようという発想から
生まれたのが、スマートマウスピースです。
プリベント・バイオメトリクス社が開発した「インパクト・モニタリング・マウスガード(IMM)」は
米国のクリーブランド・クリニックによって考案された技術を基にしているそうです。
口腔内にフィットするマウスピースとしての実用性を保ちながら、
衝撃の強さ・位置・方向・回数を計測し、そのデータをBluetooth経由で外部機器に送信
評価できる仕組みになっているとのこと。
スマートマウスピースの機能
ラグビーをはじめとするコンタクトスポーツは、身体や脳への衝撃負荷が避けられない競技です。
スマートマウスピースは、そうした衝撃を可視化し、リスクを早期に察知するためのツールとして
活用されています。マウスピースに内蔵された加速度センサーが、試合や練習中に受けた衝撃を検知し
あらかじめ設定した閾値を超えた場合には、医師によるチェックを促すといった運用が行われています。
もちろん、これで危険が完全になくなるわけではありません。
スポーツそのものが本質的にリスクを伴う以上、過信は禁物です。
ただ、選手の状態をデータで見守り、判断の精度を高められる点は、大きな前進と言えるでしょう。
スポーツ競技との親和性の高いIoT
GPSによるチーム全体や選手個々の動態把握、加速度センサーによる衝撃管理
さらには他のセンサーによるバイタルデータ取得など、スポーツ現場ではすでに多層的なデータ活用が
進んでいます。こうした知見は、今後スポーツ以外の分野にも応用され、新たなIoT活用の可能性を
切り拓いていくはずです。
目的が明確で、現場の課題解決に直結するIoT導入は、確実に成果を生みます。
スマートマウスピースは、その好例と言えるでしょう。
今後のIoT応用技術の進化から、ますます目が離せません。

