国の方針としても「デジタル人材育成」や「デジタルリスキリング」が強く打ち出され
企業においても本格的なDX推進が求められています。
その支援に携わる中で強く感じるのは、社員教育は世代ごとに“伝えるべき中身”が大きく
異なるということです。

今回は、とりわけ重要なポジションにいる「中堅世代」に焦点を当てます。

中堅世代(35歳〜45歳)が直面する難しさ

中堅から管理職へと差しかかる世代は、実は最も難しい立場に置かれています。

20代の頃にどのような仕事の進め方を経験してきたかによって、その後のスタンスは大きく分かれます。
アナログ中心で育った人もいれば、ある程度デジタルに触れてきた人もいる。
経験値にばらつきがあるのがこの世代の特徴です。

しかし共通しているのは、組織の中で“キーマン”になり得る存在だということです。

若手と経営層をつなぐ「調整役」という価値

中堅世代は、若手と管理職・経営層の間に立つポジションです。
上司からは厳しい要求や無茶振りを受けることもあるでしょう。
一方で若手には、安心して力を発揮できる環境を整えなければなりません。

・誰に相談すれば最短距離で物事が進むのか
・どの部署にどう根回しをすればよいのか
・社内の力学をどう読み解くのか

こうした“見えない構造”を理解し、適切に振る舞えるのが中堅世代の強みです。

デジタル知識そのものでは、いわゆるデジタルネイティブ世代にかなわない部分もあるでしょう。
しかし、勝負すべきポイントはそこではありません。

勝負どころは「技術」ではなく「マネジメント」

中堅世代が磨くべきは、深い技術論ではありません。
専門的な実装や高度なスキルは、若手や専門家に任せればよいのです。

中堅世代に求められるのは「仕事のマネジメント力」です。

業務の全体像を把握し、段取りを整理し、他部署や若手の課題にも目を配りながら最適解を導く。
いわば“準管理職”としての役割です。
その鍵となるのが、次に述べる「アルゴリズム思考」です。

中堅世代に求められる「アルゴリズム思考」

アルゴリズムとは、解が定まっている問題に対して、正しく解を導くための手順のこと。
言い換えれば、「計算手順」や「処理手順」です。

ビジネスに置き換えると、これは業務の手順化・仕組み化を意味します。
・感覚で行っている業務を分解する
・曖昧な作業をタスク単位に整理する
・順番と条件を明確にする

つまり、手順書や業務マニュアルを構築できる力です。

ところが実際には、
「文章を書くのが苦手」
「箇条書きに整理できない」
「マニュアル作成から逃げてきた」

という方も少なくありません。

しかし、デジタル化の第一歩は“仕様化”です。
仕組みを言語化できなければ、システムにも落とし込めません。

システム開発における“橋渡し役”になる

中堅世代は、現場とITの橋渡し役になるべき存在です。
ユーザーの要望をヒアリングし、
それを仕様として整理し、
開発担当者に正しく伝える。

この工程こそが、DX推進の成否を分けます。
ここまで整理できれば、ノーコードツールの実装や細かな設定作業は若手に任せられます。
中堅世代は「構造を設計する人」になるのです。

対話型AIは中堅世代の強力なパートナー

アルゴリズム化や手順整理は、実は対話型AIが得意とする分野でもあります。
たとえば、
「このデータを使い、この結果を導くための仕組みづくりのアルゴリズム(フロー手順)を教えてほしい」
といった形で指示を出せば、瞬時にたたき台が提示されます。

それを叩き台として修正・具体化していく。
この使いこなしこそが、中堅世代に必要なデジタルスキルです。
AIに仕事を奪われるのではなく、
AIを使って“構造化する力”を高める。
これが近道です。

中堅世代が変われば、組織は変わる

DXが進む企業と停滞する企業の差は、実は中堅層にあります。
若手だけが頑張っても、経営層だけが号令をかけても、組織は動きません。
間にいる中堅世代が、業務を分解し、構造を描き、調整することで初めて変革は前進します。

デジタル時代の中堅世代に求められるのは、
最先端技術の習得ではなく、
「業務をアルゴリズム化できるマネジメント力」です。
この力を磨くことこそが、世代別社員教育における最大の肝だと言えるでしょう。

今後、体系的な図解や整理も進めていく予定です。
少しでも皆さまの人材育成やDX推進のヒントになれば幸いです。