「客先からの見積書・請求書を電子データに変換したい」

毎月何十通も届く見積書や請求書。郵送やFAX、時にはメールで送られてくるPDFを社内システムに入力するのは手間がかかります。この作業を効率化するために、OCR(光学文字認識)を活用して自動でデータを取り込む仕組みはないか——そんなご相談をよくいただきます。

この課題は、多くの企業で日常的に発生しているものです。しかし、相手(取引先)が関与するため、なかなか改善や変革が進まないケースが少なくありません。

ケーススタディ:デジタライゼーションとDXの視点

この問題を解決する方法として、次の2つの側面から考えてみましょう。

  1. デジタライゼーション:自社でOCRを導入し、紙の情報をデジタル化する
  2. DX(デジタルトランスフォーメーション):取引先と連携し、電子データでのやり取りに移行する

自社でOCRを導入して紙情報をデジタル化

多くの企業が最初に考えるのは、OCRを活用した紙情報のデジタル化です。一般的な流れとしては、

  1. 紙の見積書・請求書をスキャナーで読み取る
  2. OCR機能を使い、デジタルデータへ変換する
  3. 変換されたデータをシステムに取り込む

近年では、OCR技術も進化し、自動読み取りやデータの層別処理が可能な製品も登場しています。これにより、目先の業務負担を軽減できます。

しかし、これはあくまでデジタライゼーションの範疇であり、根本的な業務プロセスの変革(DX)とは異なります。

デジタライゼーションとは?
デジタル技術を活用してアナログ情報をデジタルデータに変換し、業務の効率化や新たな価値の創出を図る取り組み。

DX:取引先と連携し、電子データでのやり取りに移行する

次に、より本質的な解決策として、DXの視点から考えてみましょう。
見積書や請求書の多くは、もともとPCで作成されています。それにもかかわらず、

  • 一度紙に印刷し、それをFAXや郵送で送る
  • または、PDFに変換し、メールで送る

というプロセスを経てしまっています。

しかし、PCで作成された時点でデジタルデータ(テキスト情報)が存在しています。このデータを直接取得できれば、OCRを使う必要すらなくなり、業務効率は大幅に向上します。

本来デジタルで作成したデータを、使いやすさを犠牲にしてアナログ(紙やPDF)に変換している。

このプロセスには矛盾や無駄があると感じませんか?
この部分にメスを入れ、電子データでのやり取りに切り替えることこそが「DX」の本質です。

まとめ

見積書・請求書の電子化は、単なるデジタライゼーションにとどまらず、DXの視点でより抜本的な変革を目指すべき課題です。次回は、具体的なDXの進め方や取引先を巻き込む方法について詳しく解説します。