前回、中小企業におけるデジタル人材のビジネスアーキテクトスキルの体系的な習得を促すカリキュラム案を紹介しました。

今回からは、そのカリキュラム内容に基づいて解説を進め、企業のDX推進リーダーを育成する研修用資料として活用していきます。

1.基本的なビジネス知識の獲得

まずは経済学や経営学の基本概念と原則を学びます。
産業や市場の動向を把握し、デジタル社会における市場のあり方を考えます。これは、現状の市場動向を踏まえつつ、デジタル化に向けた課題を洗い出す重要なステップです。

いきなり難しい仰々しい表現ですが、要は現状の市場動向を見ながら「デジタル社会はこうあるべきだ」的な概念を考えてそこから各課題に落とし込みましょうになります。「木を見て森を見ず」では無く「先ずは森を見ましょう」です。

2.戦略と計画の構築

次に、ビジョンや目標の設定方法を学びます。
デジタル化に向けた目標を定め、戦略策定の手法やフレームワークを身につけます。

例えば、非効率業務の改善、効率化、情報の共有化…この辺が分かりやすいかと思います。
人材不足の対応、属人化防止、情報平準化による効率化を行うためにどんな手法や戦略が必要かを学ぶになります。手法はもちろんですが、戦略策定(利害関係者との対峙や説得)が重要になりこれらを体系的に学ぶ内容になります。その「フレームワーク(枠組み)」を活用して行きます。

3.ビジネスプロセスの分析と設計

この段階では、プロセスマッピングやモデリングの基礎を学びます。業務プロセスを可視化し、改善すべき課題を見つけ出します。また、プロセス改善の手法やツールについても理解を深めます。

ここも難しい表現になっていますね。
プロセスマッピングやモデリングの基礎とは各業務プロセスをモデル化することをいいます。業務の流れや進め方、ルートの分岐などをフローチャートで可視化することで社内の各業務プロセスとそれぞれのつながりが明確になります。

そのフローチャートから、改善すべき課題を見つけ出してプロセス改善の手法やツールを選択して行く内容です。全体設計図を作り、そこから改善できそうな箇所を見つけ出し見直しをかけたりツールに置き換えたりする手法を理解して行きます。

4.組織構造とコラボレーション

最後に、組織論や組織デザインの基本を学びます。複数部門やチームとの協力と連携の重要性を理解し、組織間の調整や協力体制の構築方法を学びます。この段階では、提案書や企画書の作成、調整スキルも重要になります。

要は上記の3つの改善や変革を進める際には、組織間連携、時には組織再編成なども必要になる機会もあるために、経営層、管理職などの説得連携や組織間(利害関係者)の調整など、進める上で1番の課題部分になります。

なので1人よがりの対応では無く、関係者を巻き込み協力体制を築くためにも複数部門やチームとの協力と連携の重要性を理解する大事なプロセスにまります。そのための提案書、企画書、稟議書などの調整スキルを学ぶイメージです。

先ずは前半戦の①から④までを解説しました。

内容的にはまだこの段階では「デジタルのデの字」も出て無いでしょう。社内政治を理解してうまく関係者を巻き込みながら、問題の本質を捉えられる人材育成と言うのがポイントになります。

この様な人材になって欲しい方が社内の中で該当しそうな方はいますか?
「こんなスーパー人材はいない」と思われがちですが、意外に人材は眠っており人事総務などのバックオフィス担当者は比較的俯瞰で見られる仕事柄向いているのかと感じます。

これらのスキルを身につけることで、DX推進リーダーとしての能力を高め、企業のデジタル化を促進することができます。

次回以降は、後半部分の解説を行います。