AIの進化によって、よく耳にするようになったのが「AIに奪われる仕事」です。その中でも、特に上位に位置するのが「事務仕事」です。しかし、これを単に「事務仕事」と一括りにして考えるのは考えすぎです。

一般的に、「事務仕事」は軽視されがちです。日々のルーチンな入力業務や見積もり作成、伝票処理などは、比較的にパートタイマーや若手に任せられがちな仕事です。誰でも簡単にできると思われがちですが、その結果、「AIに奪われる仕事」のリストの上位に位置することとなります。

しかし、その軽視されがちな性質ゆえに、見落とされている可能性があります。

単純な仕事だからこそ、次のような問題が生じます。

・単価の安い労働者に任せられる
・若手に任せられる

ここで注意すべきなのは、「単純な仕事だから単価の安い人に任せる」という考え方です。これによって、以下のような状況が生まれます。

  • ミスが多く、注意力が散漫な人が担当する可能性が高まる
  • PC操作や応用が苦手な人が担当する可能性がある
  • たまにミスの少ない優秀な人材もいますが、彼らは他の仕事に回されます
  • その結果、ミスの修正や確認作業に時間がかかり、イライラが募ることがよくあります

では、この問題の根本的な原因は何でしょうか?多くの人が「能力の低い担当者」と答えるかもしれませんが、実際には少し異なります。問題は、ミスを誘発する仕組み(転記を含む)にあります。そして、その仕組み自体が問題であることに気付いていないのです。

具体的に整理すると、以下のようになります。

  • 単純な仕事だから、単価の安い(能力の低い)人に任せる
  • この考え方に基づいて業務を続けると、業務そのものにメスが入らず、問題が見過ごされる傾向がある

この「メスが入らず」という点が重要であり、この事務作業の合理化や改革が進みにくい原因です。

したがって、「簡単な単純作業だからこそ、システムや自動化に移行する」という発想が必要です。このようなアプローチを取ることで、業務のDXが可能となります。

そのためには、以下の手順が必要です。

  1. 事務作業の詳細を明確にし、整理する
  2. 情報の出所(元データ)を特定し、その情報自体を自動化・自動入手・変換可能か検討する
  3. データの転用先や加工物の変革を検討し、入力ミスを起こさせない方法を模索する
  4. 調査分析を行うために、人脈パワーを持つ人々にサポートを求める

調査分析が進むと、システムや自動化の方策が考えられます。不要なものは削除し、必要なものだけを残して、自動化を進めることが重要です。

これによって、合理化の一歩が進むでしょう。このストーリーが、「AIに奪われる仕事」への第一歩です。AIに代わるのではなく、デジタルの力を活用して業務を合理化し、その次にAIの力を借りることが重要です。