シリーズでお届けしている「中小製造業のシステム部門化への道」について、今回は第3回目となります。前回はIT担当とOA担当、IT担当部署の違いについて考察し、社内でのIT担当者への期待と課題について触れました。
デジタルが苦手な経営者、管理職の悲哀
今回のテーマはIT担当者と対峙する「経営者、管理職側目線」での考察です。
多くの企業で経営者や管理職の方々は40代以上の年齢層が多く、アナログからデジタルへの移行を経験してきた世代です。この世代は業務の専門家である一方、デジタルの専門家ではない場合が多いです。デジタル機器を業務上利用することはできても、戦略的に活用するには至っていないことが少なくありません。
デジタル機器の設定やインフラ運用に関する経験も少なく、苦手意識が出てしまうのは自然なことです。そのため、PCに詳しい担当者に任せることになりますが、これは自身の不得意分野であるため、上司にとっては腫れ物に触るような扱いになりがちです。これは、新しい職種が登場したばかりであり、誰もが初めての経験であることから、仕方のないことかもしれません。
部下をコントロールできない上司
上司としては「部下をコントロールできていない」というのが実情です。苦手な分野で担当をコントロールできない上司と、周りに振り回されつつも頼りにされる担当者。このような状況では、管理体制や指示命令が形骸化してしまいます。
その結果、関係が微妙になってきます。経営者や管理職としてはPC管理が必要な人材なので自由にさせるしかなく、担当者は自身の苦労や努力が上司から認められないと感じます(口では認められても職制や職権として不満が残る)。
これらの内容は「あなたの会社」でも身に覚えがあるのではないでしょうか?実は、これと同様の問題をほとんどの中小企業が抱えています。
やはり、この根底には次のような問題があります。
- デジタル進化が先行し、体制作りが追いついていない
- これまでの組織体制とは異なる進化が起こっている(デジタルカースト)
こんな葛藤を抱えて、自業務の忙しさとデジタルへの不安、若手社員との付き合い方
諸々を悩みながらも管理職や経営者は頑張っておられます。
次回は、さらに担当者に焦点を当て、「PC好きからIT担当者に抜擢された担当者の気持ちの変化」について、私の経験も踏まえてまとめていきます。