シリーズでお届けしている「中小製造業のシステム部門化への道」について、前回は「利害の無い第三者か新たな担当が救世主」について書きました。

システム部門の要、事象の棚卸しと優先順位付け

今回のテーマは、具体的な進め方編として「事象の棚卸しと優先順位付け」について解説します。

「担当業務の洗い出し」は言うは易しですが、実際には身近な業務ほど抜け漏れが多いものです。ISOで言う職域の明確化にあたります。

IT担当者の業務内容や範囲を明確に

まずは、IT担当者の業務内容や範囲を明確にしましょう。一般的にはPC環境設定、インフラサポート、トラブル対応などがありますが、細かく棚卸しすることで、PC設定の中でもさらに細分化でき、インフラでもレベルの差が出てきます。トラブル対応や台帳整理など、実に多岐にわたります。

上司から見ると、担当者が忙しく動いているのに「何をしているのか?」が理解できないことも多く、頑張っている担当者と管理すべき上司の間でギャップが生まれるのもIT関連業務の特徴です。

まずは、過去から現在までの業務の洗い出しを直ちに実施しましょう。これにより、業務範囲や重要性が明確になり、ルーティン業務なのか突発的な業務なのかの判断ができるようになります。

業務の「見える化」は担当業務の最初の仕事です。途中でも現状でも構いませんので、まずは迅速にまとめて一覧を作成しましょう。

業務一覧が完成すると、次に行うべきは「優先順位付け」です。

業務の重要度は?直ちに対応が必要か?スケジュールを切って進められるか?突発的か計画的か?他の担当者で代替可能か?これらを見極めて業務を整理します。

例えば、「現場対応のトラブルに緊急もゆっくりもあるか!」と怒られそうですが、内容を整理することで少し猶予が生まれることもありますので、落ち着いて整理が必要です。

よくあるケースとして、
声の大きい人や職位の高い人の対応に追われることがあります。これは優先順位というより、その人の個人的な順位に振り回される事例です。
現場直結の作業に直に影響するようなトラブル対応も多く、特に古い設備やPC環境では、日々ヒヤヒヤしながら運用しているケースもあります。

これらは、ひとり情シス担当者のお悩みでもあります。積み重なることで、単なるPC担当から逸脱した葛藤に繋がり、袋小路に入ってしまいます。

どうでしょうか?あなたの会社でも思い当たることがあるのではないでしょうか?しかしご安心ください。これらの課題は多くの企業で経験済みで、何らかの対応策が存在しています。

一朝一夕で解決するのは難しいですが、担当者のマインドチェンジで少しずつ進展が見られます。そのヒントは「ちょっとした手間の積み重ね」にあります。データを集めて分析することで、小規模でも「ビッグデータ活用」となります。この辺りは次の章「マニュアル化と情報のナレッジ化は外せません」で詳しく解説します。