転職活動に関する話題を扱う本シリーズ第4弾では、地方における転職活動の未来と、その鍵となる発想について整理しながら考えていきます。前回のコラムでは、「地方での転職活動の未来はジョブ型雇用形態への移行が進む」というテーマで議論を深め、大きな変化が必要であると結論づけました。今回は、その具体例として「まちの総務」という新しい発想を提案します。


地方における転職活動の変化点

地方都市での転職活動において、鍵となるのは「ジョブ型雇用のマッチング」です。たとえば、転職希望者が匿名で自身のスキルマップやエントリーシート(ES)を公開し、企業側がそれをもとにドラフト形式で選考する仕組みを想像してください。このようなシステムは、都市部の「ハイクラス転職サイト」に似ていますが、地方に特化することで新たな価値を提供できます。

地方の企業と求職者を効果的に結びつけるためには、地域限定のマッチングプラットフォームが有効です。この仕組みによって、求職者と企業の双方が効率的かつ適切な形で繋がる未来が見えてきます。

さらに、この発想を一歩進めると、「まちの総務」という地域全体を俯瞰したアプローチが見えてきます。


まちの総務とは——横串を通した専門性の活用

「まちの総務」という発想は、ジョブ型雇用のさらなる進化形です。業務の専門性を整理・明確化することで、個々のジョブが企業間で代替可能な業務になる可能性を探ります。具体的には、次のような仕組みを考えます。

  • 専門性のシェアリング: 専門的なスキルを持つ個人が特定の企業に所属するのではなく、地域内で複数の企業の業務をアウトソーシング形式で請け負います。
  • 共通システムの活用: 業務の標準化や自動化を進めることで、複数企業にまたがる業務を効率的に管理します。

例えば、会計業務や総務業務など専門性を必要とする分野で、地域の複数企業に対応する共通チームを形成することが可能です。これにより、企業側は自社の独自性に注力しやすくなり、雇用という概念にとらわれない新たなビジネスモデルが生まれます。

このモデルを実現する組織が「日本株式会社 まちの総務」です。中小企業向けのアウトソーシング会社として、地域密着型でありながら全国展開も視野に入れることができます。


地域密着型の未来を描く

「まちの総務」構想は、地域内での半リモート体制やリモートワークの普及と相性が良く、地元の転職希望者に新たな選択肢を提供します。この進め方の利点は、最初から大規模な計画を立てる必要がないことです。まずはジョブ型転職を進め、地域内で実績を積み重ねる中でアウトソーシングの必要性が自然と生まれていきます。

そして、集まった知見やデータを総合することで、結果的に「まちの総務」的な取り組みが広がり、世界中へと派生していく壮大な未来が描けるのです。


地方から始まる新しい転職活動の形。その一端を担う「まちの総務」という発想が、地域経済の活性化や働き方の多様化にどのように寄与していくのか、一緒に未来を見届けていきましょう。