前回は「情報セキュリティポリシーの誕生背景と現状認識」について考察しました。

今回は、大企業や行政が作るセキュリティルールが中小企業にどのような影響を与えているのかを掘り下げていきます。

大企業のルールは中小企業に適用できるのか?

情報セキュリティ対策は、企業規模や業種を問わず重要ですが、大企業や行政機関が策定するルールをそのまま中小企業に適用するのは現実的でしょうか?

・大企業は豊富な予算と人員を背景に、厳格なルールを策定できる
・一方で中小企業は、資金や人材に限りがあり、同様の対応をするのは困難

こうした現実を踏まえずに、大手企業と同レベルのルールを求められると、現場は混乱してしまいます。

サイバー攻撃の脅威と過剰対応の問題

近年、サイバー攻撃の脅威は増す一方です。

サイバー攻撃とは、悪意のある第三者が企業や個人のネットワークやサーバーに侵入し、
データの不正取得・改ざん・破壊、身代金要求、サービス停止による損害をもたらす行為を指します。

代表的な攻撃手法には、次のようなものがあります。

  • ウイルス・マルウェア感染
  • フィッシング詐欺(偽のサイトやメールを使った個人情報の窃取)
  • 不正アクセス(企業のシステムやサーバーへの侵入)
  • DDoS攻撃(大量のアクセスでサーバーをダウンさせる攻撃)

最近の事例では、「トヨタの工場を停止させたサイバー攻撃」が注目を集めました。
サプライチェーンの一社が攻撃を受けただけで、全体の生産ラインに大きな影響を及ぼしたのです。
こうした事態を受け、企業のセキュリティ管理はより厳格化される流れとなりました。

「管理のイタチごっこ」と現場の負担

サイバー攻撃が高度化する中で、専門家同士の知恵比べが繰り広げられ、管理基準もどんどん厳しくなっています。
これが「管理のイタチごっこ」の状態を生み出しているのです。

特に行政や大企業では、専門家チームが「想定されるあらゆるリスク」を盛り込んだルールを策定します。
しかし、こうしたルールは過剰になりがちで、結果として、

  • 現場の負担が増大
  • 運用の煩雑化
  • コストの増加

といった課題を引き起こします。

これでは本来の目的である「実効性のあるセキュリティ対策」が形骸化し、「守ることが目的化したルール」が現場にのしかかるだけです。

中小企業に必要なのは「身の丈に合った情報セキュリティポリシー」

では、このような厳格なルールを前に、中小企業はどのように対応すべきでしょうか?
重要なのは、企業の規模やリソースに見合った「情報セキュリティポリシー」の策定です。

「どこまで対応すべきか?」 「何を優先すべきか?」

こうした視点で、自社にとって最適なセキュリティ対策を考えることが不可欠です。
このテーマについて、次回さらに詳しく掘り下げていきます。