「まちの総務」として地道に活動を続けています。今回は、私の取り組みの目的のひとつである「共助の世界を実現するプラットフォーム」について、さらに掘り下げてお話しします。

この共助プラットフォームの基本コンセプトは、
「あなたの困りごとは、すでに誰かが解決できる」というものです。

仕事でもプライベートでも、人は日々さまざまな問題に直面します。そんな時、そっと寄り添い、良い方向に導いてくれる誰かがいてくれたら――それだけで心強くありませんか?

前回のおさらい:中小製造業における「設備保守の共助モデル」

前回の記事では、中小製造業が単独では設備保守体制を築くのが難しいという課題に対して、専門家集団によるサポート体制を外部に持つことで補う共助モデルについてご紹介しました。

そこでよく聞かれるのが次のような疑問です。

「でも、うちの工場は色々なメーカーの設備が混在してるけど、本当に対応できるの?」

今回はこの疑問に対して、少し視点を変えて解説していきます。

設備保守の共助は「対応できるのか?」という問いへの答え

この課題について考えると、次の2つの視点がポイントになります。

① 実はメーカーの種類はそれほど多くない

現場を知る方ならおわかりかと思いますが、国内の製造業に導入されている設備は、一見多様に見えても機能別に見ると使用されているメーカーはかなり限られてきます

たとえば:

  • プレス機 → アイダ、コマツ、アマダ
  • シャーリング → 相澤、アマダ、コマツ
  • フライス盤や射出成形機 → 複数ありますが、国内メーカーに集中していることが多い

また、各社のウェブサイトに掲載されている「主要設備一覧」を確認することで、使用しているメーカーをある程度把握できます。つまり、特定の設備に強い専門家を配置すれば、ある程度広範な対応が可能なのです。

② 特殊設備を除けば、故障パターンはある程度共通している

機械設備の専門家からすると乱暴な言い方かもしれませんが、あえて言わせていただくと、最新設備よりも20〜30年前の設備のほうが頑丈で修理しやすいケースが多いのです。

例えるなら、最新のAI搭載車両は修理が困難ですが、ビンテージカーは部品交換で比較的対応しやすいのと同じです。設備も同様で、基本となる「筐体」部分は非常に頑丈に作られており、故障箇所の多くは電源部やモーターなどの補機類に集中します。

  • 電源部 → 汎用部品での代替が可能。はんだ付けで修理も対応。
  • モーター → 規格が合えば代替品の入手は可能。専門商社も存在。

技術者の“リユース”という発想

現場で引退された技術者の中には、大手企業で長年設備保守を行ってきた方や、メーカーでメンテナンス部門を担っていた方もいます。

彼らは定年を迎えても、その技術は錆びることなく現役です。むしろ、設備と共に成長してきたベテランこそ、古い機器への対応力に長けています。こうした方々をチーム化し、必要に応じて支援していただく仕組みこそ、共助型プラットフォームの核となるのです。

もちろん、すべてが理想通りに進むわけではありません。しかしながら、技術者は確実に毎年定年を迎えており、現場を知る人材の再雇用の仕組みづくりは急務です。

「共助モデル」に必要なもうひとつのピース:設備情報の共有化

技術者と企業のニーズが合致すれば、いわば「鬼に金棒」状態です。

ただし、それをさらに強化するのが設備情報の共有化です。
部品情報や修理履歴、現在の状態などをIoTなどを通じて管理・連携できるようになれば、共助の世界はさらに強固なものになります。

この「情報連携」については、次回のコラムで詳しく取り上げたいと思います。

まとめ:共助による設備保守は現実的な選択肢になりうる

  • 設備メーカーは種類が多いようで実は絞れる
  • 故障パターンも共通性が高く、専門家の対応が可能
  • 引退した技術者の再活用が鍵
  • IoTと情報共有によって共助の精度は飛躍的に向上する

設備保守の体制に不安を抱える中小製造業の方々にとって、共助型プラットフォームは現実的なソリューションのひとつです。次回は、「設備情報の共有化とIoTによる保守の進化」について掘り下げますので、どうぞお楽しみに。