前回は、DX認定における『デジタルガバナンス・コード』の「3．DX戦略の推進」の詳細について
解説しました。
今回のテーマは、いよいよ最重要とも言える「4．成果指標の設定・DX戦略の見直し」です。
◆ デジタルガバナンス・コードとは？
経済産業省は2020年11月、企業のDXを加速させる目的で、デジタル時代の経営者に求められる
取り組みを指針としてまとめました。
これが 「デジタルガバナンス・コード」 です。
◆ デジタルガバナンス・コードの全体像
- 経営ビジョン・ビジネスモデルの策定
- DX戦略の策定
- DX戦略の推進
3-1 組織づくり
3-2 デジタル人材の育成・確保
3-3 ITシステム・サイバーセキュリティ - 成果指標の設定・DX戦略の見直し（今回のテーマ）
- ステークホルダーとの対話
◆ 4．成果指標の設定・DX戦略の見直し
《柱となる考え方》
- DX戦略の達成度を測る指標（KPI等）を定め、自己評価する
- 経営者は事業部門・IT部門と連携し、課題の把握と分析を行い、戦略に反映する
- 取締役会は方向性を示し、経営者の取り組みを適切に監督する
《認定基準》
DX戦略の達成度を測る指標について公表していること。
指標例：
- 企業価値創造に関する指標（財務指標）
- DX施策の効果を評価する指標
- 計画の進捗を測定する指標
◆ 本音で語る「KPI設定」の大きな落とし穴
この項目、実は最も難しく、現場でも大きな摩擦が生まれる部分です。
本気で取り組めば相当な工数が必要ですが、現実には “DX認定を取るためのKPI設定” になりがちです。
つまり、
- 本質からズレた取得目標のためのKPI
- 「やっている感」を演出するための実績作り
- 非効率な仕事量を増やすだけのExcel資料づくり
この構図は、DXの本来目的と大きく矛盾します。
本来最も重要なのは、
- 課題は明確で定量・定性データが取れているか？
- その改善ゴールは明確か？
- KPIが単純なシステム導入の進捗で終わっていないか？
DXは システム導入（デジタライゼーション）ではなく業務の変革 です。
よくある誤解の例：
- RPA導入 → DX？
- 生産管理システム導入 → DX？
- ペーパーレス化 → DX？
これらは手段であり、DXは“不要な業務そのものを無くす”ことが本質です。
◆ 現実解：DX認定取得をゴールにするなら…
表現は悪いですが、DX認定取得だけを目的にするなら、
KPIはある程度アバウトで問題無しと言えます。
例：
- 半年単位で数％の改善進捗
- システム導入計画のスケジュール進捗
- 研修の受講人数・受講時間などの定量実績
これは一覧化すれば簡単に管理可能です。
DX戦略の見直しも
- 進捗遅れの確認
- 計画の追加・削除
- 課題項目の調整
を定期会議で行えば足ります。
◆ 5．ステークホルダーとの対話
《柱となる考え方》
- DX戦略や成果指標に基づく成果を、価値創造ストーリーとして公表する
- 経営者自ら情報発信する
難しく考える必要はなく、
- 自社HPでの進捗報告
- 経営者ブログやメッセージ発信
で対応可能です。
◆ DX認定申請のリアル
最終的には、今回の内容を申請用チェックシートに記載し、提出するだけです。
現状では、
- 認定後の進捗報告義務
- 未達による認定取消
などは 求められていない可能性が高い ようです。
つまり、「DXに取り組んでいます」という公式PRの証明書
という位置づけといえます。
◆ 最後に
DX認定取得は、社内外への宣言効果として非常に有効です。
本質的な議論を進めながら、まずは認定取得を第一歩として進めるのも有効な戦略です。
取得検討をぜひ進めてください。
「まちの総務」では申請支援から実行面支援まで全面サポートいたします。
ともに、本質的なDXへ向けて歩みを進めましょう。