
ビッグデータに関する誤解や勘違いは、現場でよく耳にします。
デジタル化が進んだ現在、過去データを大量かつ簡単に取得できるようになり
企業の多くが膨大なデータを蓄積しています。いわゆる「ビッグデータ」です。
しかし、「ビッグデータを活用できているか?」と問うと
多くの企業が「取得しただけで活用していない」と答えるのが実情です。
■ ビッグデータとは何か?
ビッグデータとは、膨大で多様な種類のデータ群を指します。
特徴として「3つのV」が挙げられます。
- 量(Volume)
- 多様性(Variety)
- 速度(Velocity)
SNS投稿、センサーログ、取引履歴など、多様なデータがリアルタイムで生成されています。
これらを適切に分析することで、新たな知見や価値創出につなげることができます。
■ 「集めたあと」に進めない理由
データを蓄積している企業は多いものの、そこから先に進めない理由の多くは次の二つです。
1. データ扱いに慣れていない
データ分析は、「データサイエンス」と呼ばれる専門領域でもあり、数学・統計・プログラミングなど
多岐にわたるスキルを要します。
とはいえ、高度な分析でなくても、過去データから仮説を立てて見るだけで、多くの気づきや業務改善
につながるのも事実です。
たとえば
- 顧客の受発注データ:数年間並べると季節変動が見える
- 見積作成:過去の積み上げを分類してテンプレ化できる
- 経理データ:単年では分からないが、複数年見ると法則が見える
年単位で俯瞰すると、単体では見えなかった傾向や法則が浮かび上がります。
蓄積だけして分析しないのは、まさに“宝の持ち腐れ”です。
2. 分析する時間がない
「時間があれば分析するんだけど…」という声もよく聞きます。
しかしこれは、“分析しないからこそ仕事が変わらない”という状態でもあります。
特に中小企業では、縦割り組織のため「分析」や「部門横断調整」を担当する部署が存在しないことも
多く、「理屈はわかるが、自分の担当業務ではない」という結論に落ち着きがちです。
結果
- 目の前の業務で手一杯
- 分析専門チームを置く余裕もない
- データは溜まるが活用されない
という悪循環が続きます。
■ 外部人材とAIが鍵になる時代へ
では、どうすべきか?
現状明確な正解があるとは言い切れませんが、
外部の専門人材を活用することは有効な選択肢です。(by まちの総務)
そして期待が集まるのが、対話型AIによるデータ活用です。
HDDに乱雑に蓄積されたデータでも、AIに読み込ませることで、
- 分析・集計
- 法則性の抽出(季節変動など)
- 分類(ブロック化など)
といった処理を機械的に行える未来は十分にあり得ます。
特にデータサイエンス領域は、AIの得意分野となる可能性が高く、
最終的には、人が「意図した目的」をAIに正確に指示できるかどうかが鍵になりそうです。
■ 最後に
私自身、AIによるビッグデータ分析の領域には大きな可能性を感じています。
すでに水面下で進んでいる取り組みもあるはずで、今後も注視していきたい分野です。
ビッグデータは“集めること”が目的ではありません。
分析と活用こそが価値そのものです。
企業が次のステージへ進むためには、この視点が欠かせません。

